ドラムブレーキ - ホイールシリンダー (3)


 ドラムブレーキのホイールシリンダー(2)で、セダンのホイーリシリンダーの内径の前後比について、 またドラムブレーキのホイールシリンダー(1)のようにセダンの後輪の径違いがあることを題材に 当時の世界のRR車との比較を論じた。この項ではこの問題を更に深堀してみたい。

 おさらいをすると、セダンのホイールシリンダーには次の三種類があった:

  • PD100-519300以前 (後輪の制動力が大、尻振りを招く:おそらく設計失敗作)
    • 前輪:13/16インチ (20.64mm)
    • 後輪:7/8インチ (22.22mm)
  • PD100-519300以降 (改善策として前後制動配分を同じに:国内ユーザー向け妥協作)
    • 前輪:13/16インチ (20.64mm)
    • 後輪:13/16インチ (20.64mm)
  • PD100-519300以降特別仕様 (前輪に制動を:本当の解決策、輸出&海外生産はこれが標準 (注1))
    • 前輪:15/16インチ (23.8mm)
    • 後輪:13/16インチ (20.64mm)

 このようなものが存在した本当の理由は走行性能の改善にあったことは間違いない。それはドラムブレーキのホイールシリンダー (1)ドラムブレーキのホイールシリンダー (2) を見ていただきたい。

 実は三番目(PD100-519300以降特別仕様)の前輪に制動力を移すことは無用な後輪のロックを防止する意味で効果的であり、当時の世界のRR車では主流な手法であった。しかし、今迄そのようなものを装着したセダンは見る機会がなかった。ところが思わぬことで明らかにすることになった。オーストラリアのモーリスさん所有のニュージーランド製のセダンが前輪15/16タイプだったのである。彼によれば、ニュージーランド製はそのサイズとのことだ。

 推測となるが、おそらく当時日本に比べて高速走行の機会があるニュージーランドやオーストラリアを想定して安全な方向に振ったものと考える。

 なんてことない、日本は高速道路が出来たばかりなので実装をしなかっただけではないか!本当の安全性は特別仕様なのだが、我々に販売をしていたコンテツは本当の安全性 (セフィティ・ドライビング) について、先送りにしていただけと推測、誠に保守的な姿勢だったと考える。当時の車両設計&クルマの販売の状況をかいま見る部分だ。

 もし、セダンをお持ちで、更にちゃんとコンテツを走らせたい、つまりちゃんと安全に止まらせたいと思ったら特別仕様のような前後配分がベストであり、本来の設計と考えたい。当時とは比べるもなく今日の道路事情にもマッチする筈だ。

 しかし、すでにこんな日野の15/16 なんでシリンダーは当然のことながらもうない。そこで考えてみたのが他車の流用だ。3F (フォーム・フィット・ファンクション:注2) で、近いものを見つけ、試しに購入してみた (写真1参照) 。それはトヨタのRT-60/80用(細かくは年式&モデルを注意要、トヨタ車は品番が同じでも共用のため現物が異なる場合あり)。現車に仮取付けしてみた。おおよそ以下の様:

  • シリンダー内径は7/8 (2.22mm)、これでかなり大きなものになる。また7/8は入手し易いカップシールであり、しかも部品購入が万全なトヨタのもの。
  • 取付の位置関係はドンピシャであり,寸分違わずである。これは偶然と言いがたく、結構この種の部品は全く同じものが多く見受る。おそらくOEMとサプライヤーとの関係と推測する。
  • 取付ボルトは6mm。これはワッシャで調整可能。この辺はトヨタと日野の設計強度に対する考え方の違いと推測する。事実上、コンテッサ1300を持って自前の技術で初めての小型乗用車造りの日野は全てに於いて重量やコストを考えられてなくトラック並みの重装備だった。
  • トヨタのホースのネジはJISの10mm-1.00。コンテツは3/8インチ-24 (およそ9.5mm-1.06といったところ) 。一応、コンテツのホースはすこしルーズだがそのまま入り、締め付けられそうな感じ。この辺は色々な意見もあるので個人の判断による。素人の当サイトオーナーはオーケーと見てしまう。もし、万全を期すならばホースを造れば済み、それは規格品なので難しい問題ではない。

 以上だが、どうでしょうか?

注1:全ての輸出車両並びに現地生産 (KD) を現物チェックしたものではない。
注2:フォーム・フィット・ファンクション - Form, Fit, and Function (F3) : 世界的に認められているコンフィグレーション・マネージメント(Configuration Management)のメソドローの中の部品やアッシーの互換・流用などを特定する際のマネージメント技法。

【写真1:日野とトヨタの比較】

hino totota compare


(2007.9.12 (オリジナル))
(SE, 2015.11.23 (改訂))

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