日野コンテッサの価値


日野コンテッサ、天の上のような価格も

 この課題は以前からもどんなものかと常日頃あたまの中に自分なりのイメージがあります。40年以上前に仲間と立ち上げたPD300クラブ:日野コンテッサクーペカークラブ (現在の日野コンテッサクラブ) 当時はコンテツの価値なんて議論はありませんでした。ただただ大好きなコンテッサを日野自動車の支援が無くなってしまった状況でどう維持するかがメインの論争でもありました。まして将来をコンテッサの価値など微塵もありませんでした。しかし、どうでしょうか、ファミリー・スポーティカーであったものが、最近では穏やかな価格ではない、ある程度の富裕層の趣味としか新たに手にできない天の上のようにも感じであります。

 今年、2015年4月はコンテッサクーペが発売されて50年の節目です。日本では日本独特の発展とも思える旧車カルチャーがそこかしこに芽生えています。おそらくメディアもその伸長に大いに影響を与えていると分析しています。そのメディアにコンテンツにもコンテッサの価格が激レア的な印象で記述されるようになりました。メディアの人気ランキングでは上位に出てこないコンテッサも価格的だけは上位のように見受けます。しかし、それが現実の流通価格であるかは、あるいは価値なにかは検証出来るものではありません。

日野コンテッサの価値を査定する

 何年か前、島根県立美術館福井県立美術館に合同で美術品としてく国産各社の長期間にテーマ展示が「疾走する日本車(アート)-1960年代を主軸とする国産車の軌跡」として企画されました。これは日本では異例のことで美術館の考えた・あり方を大いに賞賛・尊敬するものです。その企画に際して主催者側からの日野自動車への要請は、日野コンテッサ1300クーペ (倉庫に保存されているワンオーナーの極上の個体、ただし、動態ではない) と日野コンテッサ900スプリントの展示依頼でした。美術館に於いてこの二車が展示されるということこの上ない喜びでありました。

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美術館イベント向け案内書の撮影風景:日野自動車21世紀センター (シャノン21) にて

 そこで問題になったのは日野自動車として、最重要保存物 (日野のコンテッサの一ファンとしての気持) であるそれらのモデルの価値はどの程度かと、要は社として保険金額をどの程度にすべきということです。そこで総務関係の担当者から調査依頼が舞い込んだわけです。それが調査をビジネスとするものでなく、ある意味でバイアスやしがらみを持たない一愛好家のボランティアのようなものです。

 一日、二日と自分がトレースしている日本でのヤフーなどでの落札価格、耳にしている個人同士の売買価格、そしてミケロッティ作品、特にワンオフモデルの取引価格をグローバルに検索してみまいした。また同様なイタリアン・カロッツェリアなど作品も対象としました。

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美術館イベント向け案内書の撮影風景:日野自動車21世紀センター (シャノン21) にて

 数日を経てご返事申し上げた結果は、対象の個体のコンテッサ1300クーぺは、およそ150〜180万、コンテッサ900スプリントは、2000〜2500万、そして完全なる動態保存車 (その辺をちょろちょろ走るのでは無く、ヒルクライムやサーキット走行も楽しめる) であれば、それぞれ200〜250万程度、3000〜4000万程度と付け加えました。個人的にバイアスを加えてもう少し高くても良いかと考えましたが頭をクールダウンしてそのように申し上げた次第です。勿論、調査の際のグローバルなデータをエビデンスとして当然ながら添付しました。また、それぞれ個体の現物をもって判断した結果でもあります。

 上記の価格、価値は数年を経た今日では変化していることと思います。

米国での日本旧車フィーバー、それは投資の対象か?

 実はここ数年、当ホームページを介してコンテッサ1300の価値の問い合わせがあります。特に米国からです。その背景を調べると、日本の旧車に関心が集まっていうことです。特にトヨタ2000GTはその頂点にあり、投資のターゲットになっており、日本に一般メディアをも騒がした様に一億円超えと、最近でもそれに近い様なものです。(参考:Japanese sports car trio, round two: Toyota 2000GT, Nissan Skyline GT-R, and Mazda Cosmo head to auction)

 ここ2年くらいの直近をみますと、スカイラインGTRがターゲットになっており、そしてマツダコスモへと飛び火しています。この種のディスカッションボードを徘徊すると実際に購入しているのは極少数の常連の様であり、それは日本の市場と変わらない様に見受けます。

 面白いことにそれらのコミュティーで交わされていることは、例えば、コスモは数年前の会話では仮に500万くらい、今が買い時と、数年後にはその数倍になるとはばかること無く交わされてるのです。そして事実として昨年のある時期に2000万越えのコスモが米国の業界誌がフィーチャーしました。

2014 from USA

当サイト宛に米国の珍車コレクター (?) から問い合わせで来た日野コンテッサの写真
また、この個体は北米の以下のサイトで見ることが出来た:
http://www.rightdriveusa.com/vehicle/1965-hino-contessa/

 トヨタ2000GTは当時から米国にあったものが市場に流れているようです。ある意味でこれは正常です。スカイラインGTRやコスモはここ数年の間に日本から渡ったようです。右ハンドルであり、さらに日本のナンバーがそのままのものもあります。ただ、ネットを通して見る個体は個人的に決して美しいものではなく、日本のその辺の中古店に何の手当てもされてないものとも感じます。いわば、完全に投資目的と考えます。

 日本の中で日本車を当時からひたすら何十年も楽しんでいる身にとって、これは異常、こんなことがあってもいいのかと感じておりました。また、旧車専門店を独自にコンセプトで経営してる方の意見は、最近は商売がやりづらい、すなわち、仕入れが高くなり過ぎと、これまた、米国の影響を受けていることは事実のようです。

 そんなところに昨年、米国のコレクターからコンテッサクーぺを購入したいがこれどうかと一枚の写真と共に問い合わせが舞い込んで来ました。購入打診の日本車専門のブローカーの提示価格は五万ドル (実際はこれに手数料とか輸送費が足される) 、すなわちその時点の為替レートでおよそ500万超えでしょう。

20150926 HINO in USA

米国サイトにある日野コンテッサのキー、この見事に年季の入った状態をみればとてもたったの7,000kmとは信じがたい。このコンテッサには全体に渡ってオリジナルと異る手を入れた部分が見られる。また年式不相応なマッチングも見られる。正に確かなアセスメントが必要と感じる一台である。

 この問い合わせの張本人を調べてみると上記のコスモの「数年には数倍になる」とはばからない、結果的にそうなった人であると一致しました。その方には旧車購入の常識として、車台番号、エンジンシリアル番号、カラーコード、新車以来7,000kmの真偽を確かめるべくその個体のヒストリーをちゃんと取ることを勧めました。

 その後の問い合わせで、日本での一般的な価格をコメントしました。また、コンテッサの長年のオーナーとしてその価格は異常に高いもので、個人的は望むもではないと伝えました。そして、その価格では日本では誰一人購入するものはいないだろう、よって急ぐ必要なしと付け加えました。

 今年に入り、夏前にその方からメールが入り、近郊のカーショーに出品したということでした。購入価格は変化なく五万ドル (この時点の為替レートでは600万くらいか) とのことでした。その方はFaceBookで別名でそのコンテッサを公表しており、世界中から超レアカーとして関心が寄せらてるようです。

これで良いのか?日本の旧車の行方は?

 長くなりました。これを書いた背景には一部の投資を目論んだ輩にコンテッサが天よりも高い価格になり、本当に愛し、楽しんでいるオーナーから手の届かないところに行ってしまうと危惧するものです。そんな身の丈に合わなくなった他人の目で見られているかと思うとカジュアルにドライブも出来ません。

 これはコンテッサだけの問題だけではありません。日本の多くの旧車がそのような可能性があることです。またメンテナンス費にも影響が出てくるとも分析しております。例えば、100万の個体と200万の個体とではおのずからメンテの仕方、具体的には200万の個体の方が商売としてチャージをし易い、つまり商売としてより利益が出せる、よってコンテッサはもっと高くなった方がと解説するガレージオーナーもおります。商売だけを考えればそれは理にかなうものでしょう。しかし、コンテッサもそうなってしまったかと、現実を否応無く感じる部分です。

 さて、このような状況が好ましいかと、本来は正当且つリーズブルな視点での査定あるいはアセスメントが必要なのです。その習慣が売手側にも買手側にもないのです。長年の一オーナーとして思うことは以下のようです:

  • 旧車を正確にアセスメント (価値査定) できる人間が必要。それも業者との紐付きでないこと、且つ各旧車に対して確かめる目をもっていること。そのアセスメントは無償ではない。日本では根付くことが困難な部分である。しかし、これがちゃんとしないと日本の旧車は将来が見えない。
  • クルマはどれ同じ価値で取引されるわけではない。グローバルにみて、残念ながら格付があることは事実として認めなければならない。

 現況はコンテッサだけに限って見ても、価値の基準を知るすべがありません。またそのような風土が日本には根付いておりません。まして、価値の査定のみに、正当な報酬を支払う文化もありません。そんな中、コンテッサそのもの個体の価値に関係なくパブリックあるいは個人売買でコンテッサは流通し、あるものはリーズナブルに値付けに、あるいはそうでもないというものを多々見受けます。

 価値を見定めるには、上記の米国の問い合わせにも一部記述したように:

  • 個体の確かなる基本情報、すなわち車台番号、エンジンシリアル番号、カラーコード、その他
  • 個体の確かなるヒストリー、すわわち歴代のオーナー、車検証、その他
  • 個体の現況、すなわちオリジナルコンディション、レストアカー、リノベーションカー、プリザベーションカー、その他
  • 個体の特別性、すなわち、コンセプトカー、ショーカー、ワンオフカー、競技の経験・結果、その他
  • オーナー&個体含めて、秀でた足跡、例えば、人や社会に大きな夢や希望を与えたなど
  • 個体そのものの社会的地位あるいは反社会的行為の有無

 などなどが価値の基準のパラメータになると考えます。取引や売買に際しては、このような情報を明らかにすべきものです。

 最近では、歴史的にも貴重な個体でも不当に車台番号などを得てしまっているようなものも見受けます(例はこちら)。このような個体の価値は個人売買レベルでは何らかの基準はあるのでしょうが、パブリックとしての個体の価値は著しく低くなるもので、あるいは価値を認められないものであり、完全に価値を損ねているものです。クルマ個体の歴史は大切にすべきであり、文化・歴史感をもってこそ、あるいはそれにふさわしい扱いをしてコンテッサの価値は評価されるものです。それはクルマの価値ではなく、それを所有するオーナーの考え方そのものであります。すなわち、評価は「車格」ではなく「人格」とも言えるものと信じます。

コンテッサの価値、「車格」vs「人格」

続く)NYC Ferrari 250 LM

(SE, 2015.9.23, Original)


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