今年も縁あって、業界大手メーカー、シーメンス社主催の年次会議に出席、今回は米国ニューヨークで開催されました。
当該企業の最新状況&今後の戦略の紹介がメインです。世界からおよそ200人ほどの関係者の一員として出席しました。
今回の個人的に大いなる興味をもったのは、ベトナム初となるVINFAST社についてのプレゼンでした。ベトナム最大規模のVingroupは不動産、ホテル、ゴルフ場を始めとするスーパーや小売り店を展開、そしてまだ手をつけてない製造業への参入へと、それがベトナム国民のための自動車への展開でした。
この展開方法 (ビジネスプロセス) が従来の方法とまったく異なるものでした。アイディエーションから続くプロセス全てがデジタル技術です。そして2017年に始まったユニークなのはデザインのコンペが行われたことでpininfarina社が選択されました。自社デザインに始まるプロトタイプ製造に至るプロセス (設計&生産) はBMW社との契約 (技術ライセンス) で進められ、およそ1年後の2018年秋のバリショーに於いてセダンとSUVが東南アジア初のOEMとしてデビューしました。
2018年末には工場 (プレス/ボデー/エンジン/塗装&組立) も完成5000人規模の従業員を配し、ベトナム国民向けのクルマが発進したようです。
ここで感じたことがかつての日本が60数年前に欧州からの自動車の技術導入が国策として始まった訳です。CKD方式での技術習得の積重ねが今日の日本の自動車産業へと長い時間をかけて発展しました。しかし、このVINFAST社の例はおよそ2年と言う短期間で自社ブランドのクルマが出来上がったのです。
重要なことはVINFAST社にクルマづくりのすべてがシーメンス社を含む多くのドイツ企業の努力 (及び技術) で成り立っていることです。そして背景にデジタルベースのモノづくりであることです。今回発表のセダン&SUVモデルはBMW社の1世代古いモデルをベースにしたものと分析しますが、アジアの新興市場のみならず世界の新興市場に大きな影響を与えるスピード感あるビジネスモデルと考えます。