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相変わらずのコンテッサ1300 GR100エンジンのブロックのクリーンアップと日野の赤でない黒:ブラックの耐熱ペインティング作業です。それは考古学の発掘&復元作業のようなものです。
最後のプロセスで画像のような新たなオイルプラグを発見!ブロック上面のタペット近辺です。オイルラインの至るところに徹底的にプラグを設けたようです。米国・カリフォルニアのOHVエンジンのチューンアップの奥の深さを感じつつ、これが今から55年前の1966年 (昭和41年) なのだと想いを馳せています。
これらのプラグを抜くと、下の画像のように、今まさにスレッドされたようかの新鮮さです。おそらく何度もプラグを抜いたり入れたりされてないのではと推測します。
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これらのプラグはもちろんインチ規格です。ネットでこんなものが今でも売られているか検索しましたがヒットしません。いずれ見つかるでしょう。
さて、日野コンテッサはウエットライナーです。つまり、ライナーがブロックから独立してます。そこでブロック内部の水回りを清掃にはライナーを取り外し必要があります。それには以下の画像な特殊工具 (SST) が必要となります。
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このSSTは当時の日野の純正工具です。ただし、一般向け市販の標準ピストン (71〜72,2mm) 向けのものです。画像左下の少し大きめのプレートが自分が内燃機屋にお願いして制作したボア アップ (73mm&75mm) ピストン専用のものです。
このSST無しで抜くと、例えば、下部からマイナスドライバーで叩くとか、それは多くはライナーを破損させてしまいます。要注意の場所です。
今回のこのブロックは日野ワークス向けの74mmピストンのライナー、そこで73mm用を利用してライナーを抜くことにしました。
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この作業は今まで何度かしてるものの正真正銘55年も経たものは初めてです。慎重に慎重にと、あるところグワっとライナーが動くと、これで成功です。この感覚が大事です。
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なるほど、ライナーの周辺の汚れ具合、これで水の流れが分析できるのかな、何て考えてしまいます。時間のある時に4本並べて分析するのが楽しみです。
今回、制作しているエンジンは73mmピストンです。よってこの74mmのライナーは使用しません。この74mmのピストン&ライナーについては大きなストーリがあるので別途、機会をみて記述しましょう。
ライナーを抜いたブロックの内側壁面は以下の画像のように冷却水によるサビで結構汚れています!しかし、どれもこんなもので、これよりとんでもなく酷いものも見受けます。
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このブロックの内側壁面の部分は取り敢えず以下のようにクリーンアップしました。
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この内側壁面は水で錆びて汚れることは仕方ないと考えます。ただ鉄ブロックでそれをどれだけ防ぐだけかと考えます。
船舶エンジン (冷却に塩を含んだ海水を使うので非常に深刻) の場合はそれなりの防錆塗装をするようです。また、コンテッサでも塗装したと言う声も聞きました。
今回、欧米のディスカッションルームをチェック (Water Jacket Inside Coating??? - Antique Automobile Club of America)しましたら、これで良いのだと、自分もそう思ってしていると言うのがありました。それは防錆剤の入った不凍液を適切に使用することだそうです。ただ問題は、一つ、不凍液の性能の劣化に比べ防錆剤の性能劣化がとんでもなく速いことです。
諸々、エンジンに限らずチェックすると防錆剤はワンシーズンで入れ替えというのがベターのようです。と、いうことは防錆剤入り不凍液の寿命はワンシーズンということになります。これを肝に銘じておく必要があります!
鉄ブロック内部のサビの進行を遅らすには、シーズン毎に新しい防錆剤入り不凍液を入れることしかない、と言う結論です。
次にブラックペイントのためのマスキングです。当然のことながらペイント不要な部分を徹底的にマスキングしました。いつものことながらペイントのマスキング処理は手間と時間を必要とする辛抱のプロセスです。
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そして、まずはプライマリーです。耐熱のVHTスプレー缶です。以下のようです。
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そして1日、乾燥させて耐熱のVHTスプレー缶、艶消しブラックのペイントを施しました。待望の黒:ブラックです!
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さあ、これで数日乾燥させて、週末にはクリアーの耐熱のVHTスプレーを入れる予定です。それが完了後、クランクシャフトを含め、機械加工&調整に内燃機屋に馳せ参じたいと今から心が踊っています!さあ、この55年もののブラックのブロックのニューエンジンの期待如何に?競技の場で陽の目を観れるのでしょうか!
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