設計を祭し、基本構想・企画の結果、次の4つの基本方針が定義されました:
- クルマの大きさ
基本的な性格はルノー4CVの範に従って、小型の経済車であること、しかし、日本国内市場での4CVの評価を受けて、自家用車では大方受け入れられたものになりました、しかし、営業車として (ルノー4CVでは) 問題のあった後席を広くすることが必須であり、法規上、後席を3人 (ルノー4CVは二人) とし、5人乗り小型乗用車としました。
車庫入れや街ので駐車の容易さはルノー4CVの大きな優位性であり、それを踏襲。外寸は極力、コンパクトにとルノー4CV並みにを狙ったものになりました。
- 構造配置
当時としては、小型乗用車のエンジンの位置、すなわち駆動方式はリヤエンジンが最も室内寸法が広く取れる、コストも安い (プロペラシャフトなど余計なものが不要) であり、ルノー4CVの後継のルノー・ドーフィン、またイタリアのフィアット600、ドイツのワーゲン同様の配置と必然的になりました。
フロント・ドライブの検討も行われたが、日野コンマースの経験 (等速ジョイントの技術が確立されてなかった) をベースに、技術的課題含め、操縦性、コストなどの面で更なる研究が必要であったことで採用には至らなかったようです。
- スタイリング
ルノー4CVはフランス自動車文化の大きな伝統に基ずくスタイリング (機能面との巧妙且つ粋なインテグレーション含め) であります。しかし、その当時は世界的な傾向として、シャープであり、車高の低い、そして軽快さを感じるイタリアン・デザインが注目され、さらに世界中のメーカーでもこぞって採用を進められていました。日本でもプリンスなどがいち早くミケロッティを起用する時代でもありました。
そこで日野の考え方もその傾向に沿い追いかけるものとしました。すなわち「機能的なものがまとまっているものは美しい!」と、且つ、「安いクルマであるものの、決してお粗末には見えない、むしろ立派に見え優越感を持つ」と欲張ったもので、これが日本の国民性にマッチするものと考えていたようです。
- 性能
加速性能はワンランク上の1,000c.c.クラスの中でトップレベル、燃費は経済性について市場で認められていたルノー4CVの伝統を継承するというものでした。
そのためには、ルノー4CVエンジン (748c.c.) を継承した日野コンマースの836c.c.を発展させ、893c.c.,すなわち900c.c.エンジンを新開発することとしました。これの狙いは、排気量を無用に大きくすることではなく、ルノー4CV伝統の世界第1級の軽量化を進め、目標値を670kgの車両重量に定め、走行性能を高める努力をすることとしました。
この点は設計者に高度な課題を突きつけるもので、特に安定した走行性能を得るためのサスペンションにも工夫を要するものでありました。
(SE、2011.1.28 Original)
(2021.9.4, Revised)
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