電磁ポンプ - 実践編 - パーコレーション


パーコレーション対策 - 旧車、夏の風物詩!

 この個体は2009年の夏も終わる頃に20数年ぶりに公道復帰した日野コンテッサ1300DX (ネイビーブルー) です。2010年の夏は知らずに過ごしましたが、後になって考えればその兆候はあったような気がするものでで、2011年の夏に明確な洗礼を受けました。そして、2011年ではすべて解決出来ず、すなわち兆候はあるものの騙し騙し走って2012年の夏へと引き継がれました。とにもかくにも、ここのところな夏の温度は、コンテッサが開発された夏の温度以上のものと考えます。

 以下はコンテッサ1300セダン (SUキャブに換装の個体) のその状況の過程です。現代のクルマは燃料ラインに非常に高い圧を加えているのでパーコレーションとは無縁であり、うらやましく思うもです。

電磁ポンプの空打ち:

 当初、交差点など信号待ちや渋滞のアイドル状態で電磁ポンプ (旧車定番のウルトラ長寿命製品:ミツバ FP-3) の打音が変化し、少しアクセルをあおると元に戻ると言う現象でした。色々、ネットなどで調べると、電磁ポンプ内でパーコレーションを発生した時の現象で、通称、「電磁ポンプの空打ち」。アクセルをあおると新たに冷えたガソリンが流れるの即刻パーコレーションは無くなり、空打ちがなくなるというものでした。

 当初、電磁ポンプの不具合を疑い分解をし、電気回路をチェックしたり、ピストンをチェックして、原因が分からず、別途、新たに購入して取り付けたが同じ現象が出たということで、程なく、上記の原因解明に到達しました。今、装着したのは、分解してチェックしたもの、カバーのつめに剥がした後が残っています。

電磁ポンプの場所と配管方法:

 電磁ポンプの場所は、当初、経験的にパーコレーションを避けるために先輩オーナーの知恵をベースにエンジンルームの全部の空気の流れる場所にステーを作り装着しました。すなわち、過去、問題のあったエンジンルームの後部を避けました(実は今もってこの場所が多いのだが)。その先輩オーナーは山形市であったので、暑い最中の信号待ちや渋滞など無しで、おそらくパーコレーションには無縁だったのかも知れません。

 結果的にこの場所は、熱は溜まらないものの、熱が流れる位置で、その熱は摂氏60数度に達することが、実測で判りました。ガソリンは64度程度で蒸発が始まる、すなわちパーコレーションになるということも学びました。

電磁ポンプの移動、タンク上に:

 では、熱の流れが遮断されていると思われるバックパネルの裏のガソリンタンクの上に電磁ポンプを移動しました。しかし、結果は変わませんでした。この時期はテストに走っても、近所のスーパーに行くまでもなく、パーコレーションで停止しまう状況でした。

各部の温度測定:

 電磁ポンプを設置した近辺のタンク上の温度を実測してみました。アイドリング状態で、50度程度と結構高いのです。それが、発進すると、いきなり60度越えとなってびっくりしました。これでは、遮蔽されていると言え、エンジン・ルームとまったく変わらない温度だったのです。むしろマフラー側の方が温度が低いので、おそらく遮蔽不足と考えます。

配管への熱対策:

 同時に色々疑い基本的な対策をしました。1つは配管自体の熱からのシールドです。レース用の排気管用のヒート対策のバンテージを巻きました。卓上の実測では5度程度の効果です。ただし、中に溜まった熱は外に出にくいことも判明しました。要は冷たいガソリンを流すことが肝要なのです。全体を暖まらないことで肝要なのです。

周辺の問題削除、その1:

 パーコレーションとともに、オーバーフローも経験しました。そのためにフロート・チャンバー内部をチェック。片方のニードル・バルブにさびとも言えるゴミが付着していました。おそらくガソリンタンクの汚れかと推測します。前後ともニードル・バルブを購入可能なコンテッサと同サイズ(オリフィス)に日立の日産用を購入し、入れ替えました。

周辺の問題削除、その2:

 これもオーバーフローを経験により、1つのフロートにガソリンのリーク、すなわち吸い込みがあったので、オリジナルの真鍮製に換えて日立の補修用のプラスティック製に入れ替えました。しかし、入れ替えるものの単純にはことは解決しなかったです。それは若干、ガスが濃くなることで、分析の結果、全体的の構造の違いにより、若干、浮力がことなることが判明しました。結果的に日野の整備マニュアルにあるカンチレバー調整のフロートの調整方法から変えて、ガソリン面の実測と言う現実的な方法を取り入れることで解決しました。ペーパー上の設計の理論値ではなく、現場のリアルなデータという訳です。

その過程での事故:

 そんな中、付き合いの大黒PAなどの朝ミーティングなどに参加した帰路、羽田の地下トンネルでエンストしました。最初はパーコレーションあるいはオーバーフローと思いましたが、実は電磁ポンプのアースの不良でした。テストしながら走っていたのでいい加減なことをしていたのがこの結果だったのです。

 非常灯を付け、路肩で首都高のレッカーを待っている間は生きた心地がしませんでした。トンネルの側道が狭いので手前になって急に避けるクルマが実に多かったです。ここで事故が起きてもしょうがないと腹をくくっていました。大きな反省をしました。これでこの年のパーコレーション対策は幕となりました。なぜなら、これ以降は、秋風の季節となったからです。

抜本的対策に向けて:

 2012年の夏は、梅雨があけてもお盆まではあまり乗らなかったので問題は感じなかったが、2011年の問題を抱えたままなので、お盆の休みの際に、抜本的な対策をすることとしました。それは電磁ポンプ (およびタンクからの配管と燃料フィルター) を熱の流れる場所から、熱の流れない外に移す事でした。結果的に今の場所に移動しました。また、粉塵や飛び石を避けるためにシールドも設置しました。

 懸念は冬期の冷え過ぎのアイシングと考えたのですが今のところ、問題が発生していません。

 この場所について、車検の際にクレームなど万が一を想定し、オイルパンの底面よりは高い位置に設置しました。旧い日産系にフロントのエンジン・ルームに似たような設置したものがあるので問題ないと推測しました。実はそのセドリックかなんかからのアイデアをいただいたものです。ただ、取り付けパネルは薄く柔であるので (とにかく、目の前にあるもので加工) 、将来、もう少しちゃんとしたものにしたいと考えています。

 この個体は縁あって、2013年に群馬県の若い方のもとに嫁ぎました。その後、幸いなことに今日 (2020.9.18) まで電磁ポンプの空打ちやパーコレーションは発生してません。

温故知新!?

 その昔、日野コンテッサのクラブで10数台、蓼科に向かった際、途中で、セダンが3台、ほぼ同じ場所でエンジンがストップ、原因はパーコレーションでした。その3台共に、オリジナルの機械式に替え、ミツバの電磁ポンプをエンジンルーム後部のホボ同じ位置に長い配管で設置されていました。正に工業製品らしく、理論通り正しくパーコレーションが発生したと言う笑えない話があったことを付け加えておきます。(参考:PD誌 1993 V-6 「最近気のついた点 Part 2」 セダンのオーバーヒート)

(SE, 2013.11.26, Original)
(Refined, 2020.9.18)

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当初はキャブに近い場所に設置、これが大きな間違いだった。
エンジンの熱がまともに当たった!また、配管も同様に熱にさらされた!

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分解しても何の問題も無いようだし、実に綺麗な状態だった!

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最初は半導体特有のオーバーヒートを疑ったがこれも問題なし!

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燃料タンク周りの付近の温度の実測。停車時で50度と結構な高温だった!
これは走行するとエンジンやラジエータの輻射熱で70~80度に容易に上昇することが判明!
これでは配管や電磁ポンプ、フィルターはひとたまりのない!

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燃料ラインをバンテージしたが返って熱を溜めるようだった!

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そこでタンクからの燃料ライン&フィルター含めて風の通る場所に設置した!

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同上、下から覗く!

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同上、サイドから見るとこんな感じ!

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同上、プロテクターを付ける!

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同上、プロテクターを付ける!

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同上、プロテクターを付ける!


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