「日本の常識は世界の非常識!」 Form, Fit, and Function(3F)- フォーム・フィット・ファンクションとは?
日野コンテッサの部品について、イベントやメール/電話、あるいはこのサイトに問い合わせがあります。その際の中味は間違いなく使える部品の「部品番号」を教えて欲しいというものです。あるいはクルマの種類を知りたい、これも結果的は「部品番号」と同じ意味となります。
おそらくこれは日本に於いて歴史的に根付いた習慣、あるいは自動車メーカーと部品屋&修理屋の長年のしがらみと考えております。世界的にみれば、クルマをメンテナンスする場合、それは無力に近いものです。これはクルマだけの世界ではなく、あらゆる工業製品に同じことが言えます。逆に言えば、この「部品番号」を主体とした仕組みは、正に「日本の常識は世界の非常識」と言えるものです。
細かいことは別にして、形が同じで、取付けが同じで、そして機能 (性能含む) が合えば、何でも使えると言う考え方です。つまり、「部品番号」ありきではなく、互換性があれば、何でも使おうという考え方です。この基本になるのが、コンフィグレーション・マネージメント (ここでは説明略) に中にある「フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) 」というものです (下記の説明を参照) 。メンテナンスの際の「互換性」、設計の際の「再利用性」の課題に対して、基準、しかもシステム全体での確かさをどうするかと言う手法、お作法です。
多くの皆さんはすでにその効用を得ている筈です。例えば、一番解り易いのがエンジンオイルです。昭和40年代にはメーカー指定のオイルがありました。しかし、ある時期からはそれがなくなり、推奨はあるものの、性能の指定 (粘度) だけになりました。輸出の車両にはそんなものは始めから無かった訳で、日本の国内だけの指定、すなわち販売店の利益をも巻き込んだ壮大な仕組みだったのす。今はそんなものは消え去りました。そして多くはフィルターなどの消耗品も社外品はすでに誰しも利用されていることです。メーカー純正の保証というのも過去の世界になりつつあります。これが「フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) 」が業界全体で成立しているからです。メーカーの「部品番号」を参照する場合があるものメーカーの「部品番号」は主ではありません。すなわち、何を使ったらよいかです。
旧車の場合、すでに無い部品が多く有る訳で、この「フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) 」をもってすれば、多くの不憫さを解決をすることが出来ます。少々の違い、特に「フィット ( fit) 」となりますが、これは中間にインターフェイス、すなわちアダプターを設ければ解決します。重要なことは、第1に、オリジナルの本体側を改造しない、壊さないことです。よく修理屋さんが安易にこれをやってしまい、その先のメンテナンスがさらに困難、また結果的に高価になってしまいます。そしてさらに重要なことはどこでも手に入る部品を使うということです。要は、互換性ある部品を得るかです。それにはもうちろん、部品の向上 (格好好いと言う意味では、材質などは「フォーム(Form) 」、取付け易いなどは「フィット(fit) 」、そして性能向上、「ファンクション (function) 」にもつながります。
日本での修理屋さん含めて旧車の部品の扱い方は、当サイトオーナーにとってよく見えない世界です。また、昨今では旧車のオーナーの極一部を除いて、部品について、修理屋さん任せの状態です。それについて何も言う身分ではありません。適切な部品、特に旧車は、「品番」ではないということです。「フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) 」の手法に基づいて、何が使えるのか、どうしたら使えるのかという考えが必要です。少なくとも日本だけがそうでないと感じております。「旧車後進国」にならないよう、メーカーの設計者、流通経路、そして部品屋&修理屋の意識が変わることを望むものです。おそらく自分の手を汚して自らメンテナンスをしておられる旧車オーナーは、フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) 」を述べるまでもなく、頭と体ですでにこの種のことをしていると考えます。
以下にその例を示します。
レベル1:簡単
コニのショック。若干太いが加工無し。性能&耐久性は大幅に向上。コニの縮み側は車重だけなので問題なし、伸び側は調整可能。また、世界のコニのサービス拠点 (日本ではFET ) でオーバーホール&チューニング可能、よって形さえあれば一生もの。対処方法参照:ショック・アブソーバ - 実践編、ショック・アブソーバ - 実践編 その2
レベル2:中程度
トヨタのカップ付きピストンを利用。トップをカット。さらにダブルのカップで性能向上。左端が日野整 (カップは取り外した状態)。右端がトヨタ製の未加工品。左から二つ目がトップをカットした未使用品 (下端のカットはまだしてない) 。右から二つ目がその使用過程品。
レベル3:少々面倒
アダプターを二個一で制作、汎用品のホース (航空機品質のテフロン&ステンメッシュ) を利用。アダプター (こちらを参照) さえ作ってしまえば、ホースは世界の主要国で購入出来る汎用品、しかも価格もリーズナブル。対処方法参照:クラッチ・ホースの課題について - 検討編、ホームメード・パーツ:クラッチ・ホースの課題について - 制作編
レベル4:かなり面倒
コンテッサ900のGPエンジンまるごと、トヨタのK型にスワップ (ベトナム) 。クラッチ側のベルハウジングのアダプターやメンバーの制作&加工で「フィット(fit) 」を達成。すでにメンテナンス部品の入手不可の日野のエンジンに換えて、どこでも入手可能&メンテナンスが楽なトヨタ製エンジンにアッシー・部位レベルで換装したと言う例である。世界的にみれば、特殊なことではない。
補足:以下のサイト (コロンビア) はコンテッサ1300セダンに記述ではルノーのブロックを使用となっているが、エンジンアッシーでスワップしたと分析する。オリジナルのようにうまく収まっている。
(http://www.retrovisiones.com/2009/09/contate-esa-del-contessa/) 。
以上
(SE, 2012.1.14)
(Revised, 2018.6.14)
フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) - 実践例
フォーム・フィット・ファンクション (Form, fit and function) とは:
フォーム、フィット、並びにファンクションは、製造業でF3またはFFFとも呼ばれることがあり、技術の業界では、アイテム (註:参照) の認識する特徴を記述してます。特定のアイテムのフォーム、フィット、及びファンクションの仕様、または条件 (基準・尺度) が満たされている場合、アイテムは一般的には同じ要件を持つ他のアイテムと互換性があると見ること出来ます。
フォーム、フィット、並びにファンクションは、ある部分に対する変更をしたい場合、フォーム、フィット、並びにファンクションに影響無しは "マイナー ( 重大でない) "、フォーム、フィット、並びにファンクションに影響有りは "メジャー ( 重大) "であるかと決定するために使われます。このF3ルールは、エンタープライズ・マテリアル・マネージメントシステム (材料関連) 、ERPや製品ライフサイクルマネージメント (PLM) システムの基盤となります。
システムの中のデバイスないしコンポーネントを独自に認識する物理的、機能、また性能などの特徴または仕様、そしてシステムの中のその互換性を決定するものです。
Form:フォーム
形状、サイズ、寸法、そして製品を特徴付けるその他の物理的に計測可能な要素(パラメタ)、そして材質などソフトウエアの場合、言語とメディアがフォームとなる
Fit:フィット
他のアイテムに組み合わす部分と(に成り得る)物理的にインターフェイスするまたは相互連結するアイテムの能力
Function:ファンンクション
アイテムの意図(実行)のために設計されたアクションまはアクション(群)
(註)アイテムとは、一般的に部品、アッシー、またはデリバリー最終品 (エンドアイテム、あるいはシステム) 、ソフトウェアの場合、モジュルー、サブモジュールなど。
(SE, 2012.1.14, Original)
(Revised, 2015.11.30)
(Improved 2022.2.4)
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