オイル周り - アイドル・ギア
日野コンテッサ1300のGR100エンジンは5ベアリング、アルミ製シリンダーヘッド、クロスフロー、30度傾斜など1964年当時では市場では他社に先駆けた新しい技術として好意的に受け止められていたのは事実です。それら新機軸の技術導入とは裏腹に、数年を経て他社がすでに新たな時代に進み始めた頃には、例えば、高回転には適さない、とんでもなくヘビーな重量、オイルの上がり/下りの問題、油圧、アイドルギアのノイズなどルノーのデッドコピーであったコンテッサ900のエンジンからデッドコピーを避けたGR100エンジンは、日野独自を技術をうたったものの多くが時代遅れになってしまったと分析しています。
おそらくそれらの問題が、日野コンテッサ1300が市場で成功し、日野自動車に明確な利益を生んで第二世代のGR100エンジンへと成長しておれば、ある程度の克服が可能であったと推測します。また懸念の耐久性の飛躍的に向上したものと考えます。まことに残念な結果ですが、これの運命です。
ここでは上記の一つの問題である「アイドルギアのノイズ」に焦点を当ててみます。
この問題は当時の日野でも知っていた問題であったようだが、残念ながら、日野コンテッサ1300の生産中止 (日野自動車の社史では1967年12月末) まで解決されることはなかったのです。
設計上の問題の本質は、アルミ製のアイドルギア 、すなわち、エンジンのクランクの回転をカムシャフトに伝える中間的なギアにあります。ルノー4CVでは、それはベークライトであり、エンジンの小さいのでノイズも問題ではなかったようです。コンテッサ900ではデッドコピーであるので当然同じ設計であります。
ルノー公団との関係で再度のデッドコピーが許されなくなった日野独自のGR100では、大きなエンジンになったので、ベークライトから金属、すなわち新しい材料のアルミ製で設計されました。またギアの内部にはゴムのダンパーが入っており、それはノイズを減少させる目的だったようです。
しかし、実際は、例えば、当時のCG誌の小林 章太郎氏の新車試乗記事にあるように、コンテッサ900の欠点だったアイドルギアのノイズ (カラカラ音) について1300になってもか解決されてないと明確に指摘されています。新設計の日野独自にエンジンへのこの失望感は期待からのものと推測します。
この構造でのノイズの原因としてギア面への油量の問題であると日野の関係者から伺っていました。上記の新車時の試乗でも指摘されていたカラカラ音はエンジン個体あるいはオーナーのメンテンスの差によるが時間とともにクリアンラスが過大、すなわちアルミのギアが摩耗してノイズはさらに増大する傾向にあるようです。さらに何らかに原因で湯量が極端に減った場合、あるいはオイル管理が悪かった場合、アルミのギアの歯がやせ細ったようにかぼそくなってしまったものも見受けています。
そこで考えたのが、右の画像にように、湯量を増やすために強制的にオイルをギアに噴射しようというものです。
結果的にノイズの減少は確実にあり、効果は認められたことが事実です。オイル自体は油圧センサーからの給油を利用しています。
ノズルの吹き出し口の位置ですが、非常に微妙です。なぜならば、アイドルギアカバーを外して、周辺にオイルが散らばることを恐れずエンジンを回すと分かるのだが、二つのギアが回転してる訳で、その歯による風圧がかなりあり、吹き出し口から圧力が弱かったり、位置により風圧に負けてしまう現象を実際に実験時に目にしました。それで画像のように兎にも角にもギリギリまでアイドルギアギア側に近づけた記憶があります。
おそらくこの問題が吹き出し口の圧力を強くすることでかなり改善できるのではと推測しています。しかし、未だ、検証済みではありません。
実は日野自動車でこの問題に対処した経緯があります。それは日野コンテッサ 1300向けのエンジンではなく、トヨタ自動車のトヨタブリスカ1300に搭載したエンジンです。このトヨタ向けにエンジンは日野のエンジン技術者も相当の緊張を強いられたようでその際に可能な限りな問題 (あるいは不具合) の解決に向けたとお聞きしています。
その一つはこのカラカラ音の問題でした。解決方法は下の画像に様に、オイルラインにオイルジェットを追加して、アイドルギアに吹き付けるコトだったそうです。この現物は上記の自前の対策後にその実物を目にすることが出来ました。以下の画像は現車すなわち2013年公道復帰車のものです:
よく考えるとこれらのオイルを吹き付けることがベストなソリューションは何かと今だ、自問自答してます。何故ならば、根本的な解決方法は何かということです。ここで記述したパッチによる処方箋ではなく、そんなものをしないで済むことはないのか?ということです。
(SE, Original 2017.3.25)
(Refined 2020.6.27)
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