オイル周り - ドレインプラグ - 実践編


オイル周り関連 - ドレインプラグ - 実践編

【ドレイン・プラグ 日野製 vs. アルミ汎用品】

 日野製のドレイン・プラグの良い点は、材質そのもの以上に形状に特徴があります。それはヘッド部分がかなり薄いのです (下記写真の右) 。その理由が知る由がないが、装着した際の見た目が良いです。デッパリが少ないのです。と、言うことは、当時の悪路での干渉を少しでも避けようとしたのだろうか?でも、数ミリの差など関係なく、当時の山道に入れば、コンテツは、床もオイルパンも容赦なく、こすったのは一度や二度ではありません。今ではそんな道路は普通ではめったにないので安心です。

 そこで現代の18mmX1.5mmサイズの薄いドレイン・プラグを探してみました。使い捨てではあるものの、汎用品で手頃な価格で以下のようなアルミ製を発見しました。使うかどうか未定ですが、結構、見てくれは良いです。また、これは使い捨てであること、すなわち常にフレッシュなネジ山であること、また鉄製のように固くないのでトルクをかけられないので返って良いだろうと思います。因に本品はポルシェ用です。さすがドイツのポルシェ、締め付けはレンチです!

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 因みに、以下はコンテツ・サイズのトヨタ用のドレイン・プラグ。ヘッドが結構高いのが難点です。幸いなことに、もうトヨタもこのサイズは使ってないようであり、街の部品屋からも姿を消しました。

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【歪みによるモレ対策】

 コンテッサ1300のオイルパンは当時に於いてもよほど気を使って、あるいはその欠点を事前に知って (これはその当時、不可能と言ってよいだろう) いないと一度でもドレインプラグの締め過ぎをしてしまえば下の写真のように歪んでしまいます:

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 個人的な意見ではあるが、これは「設計通り」、つまり「As-Desgn」と言ってよいでしょう。決して,自分で整備をするユーザーを責めてはいけません。こんな問題は設計時点で,当時の設計技術であってもちゃんとして置くべきレベルと考える。「締め過ぎ」を責任にするのではなくて、「設計ミス」を責めるべきであり、しかし、これが当時の日本のクルマの設計の技術レベルだったのかも知れません。

 さて、こうなってしまった使用過程のオイルパンにどう向かえばよいだろうか?オイルパンのこの部分を整形するにしても大仕事でです。日野の対策品を使ってもそれは付焼き刃的なもので使う気にはなれない、と言ってもそんなものは新品で今では入手できません。それではナットを溶接して、現代のクルマのようにしてしまうか?これはおそらく技術的にはベストなものと考えます。しかし、よく考えると、これは結構、出っ張ってしまって見栄えなしないものです。やはり、薄いボルトヘッドで見えないところでも、伯爵婦人のドレイン (排出) 機能は美しくしてあげたいと思うものです。この改造は絶対にやりたくありません。

 日野コンテッサ本来であった銅ワッシャーではやはり少し滲みが発生してしまいます。それでどれだけ困るかと言うと実はたいした問題ではない!英国人の諺にあるように、「滲みがある、あるいは床に垂れる、それはオイルが入ってる証し」、それは正にそうであります。しかし、少しでも改善したいと思うのは人の心です。常識的には、アスベストのパッキン (汎用品) を使うの一つの手でしょう。

 銅ワッシャーに比較して、柔なので少しはなじみが良いと思います。しかし、上の写真のような状態ではもう少しなじみの良いものがなかろうかと考えて、実は、長年、使っていたのが水道のパッキンでした。サイズはやや大きめです。革製なので紙のようなアスベスト製とは違って歪んだところにもっと良く馴染んで行きます。これで80年代半ばから15年くらい使った記憶があります。何の問題も無かったし、価格もアスベスト製よりは遥かにローコストです。さらに次のオイル交換の際に、アスベストのようにプラグとオイルパンの接触面にアスベストのカスが残らず、きれいに外れるのが良かったです。これ自体のアイデアは、子供の頃,我が家にあった戦後間もないトヨタの4トントラックだったと思うが記憶が定かではありません。参考迄にオイルパンに取り付けた状況は以下のようです。これはロックしてないが、ロックすると結構潰れるがそれでも使用上問題は発生しませんでした。

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【マグネット付きドレインプラグ】

 アルミ製のドレインプラグのチェックついでに、昔よくあったマグネット付きのドレインプラグを思い出しました。日本国内でも幾つかの種類が販売されていますがが、あえて米国のレース部品販売のところから取り寄せてみました。
 Magnetic Drain Plug - Thread Size M18 x 1.50 (Large Magnet)
 http://www.powerslutracing.com/i-20015581-magnetic-drain-plug-thread-size-m18-x-1-50-large-magnet.html

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 マグネットが結構、強力で、右の写真のようにトルクレンチなんかも軽々と持ち上げてしまいます!

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 サンプルとして、実際の取り付け (仮) た状態は次のようです。念のために、アルミのワッシャとオイルパンの間には、通常のアスベストのシールを挟んでいます。

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 そして、オイルパン内部からの状況は右のようだ。中央の突起物がマグネットの部分です。

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 さて、これで何だということです。マグネット付きのドレインプラグの効用であります。実はこんなところに金属粉などついてほしくありません。現代のクルマならなそんなリスクは殆どないでしょう。旧車でもオイルを抜いた際に金属粉が出ていることも希、と思うのです。では、おまじない程度?かも知れません。ただ、今、進めているリノベーションしているコンテツはエンジンを完全にオーバーホールしています。内燃機屋が加工した部分もあるが、自分で削った部分も多くあります。そういう意味ではやはり保険程度に付けてみたいと考えたのです。事実、過去、何度か削ったエンジンパーツを組んだ際には、金属粉はゼロでは無かったからです。また、同様な理由で、新品ミッション (45年も前の加工&組立だから危ない?) のドレインプラグにもこの「強力」マグネット付きドレインプラグを奢ることにしました。おまじない程度でも良いのだ!

 購入先:Power Slut Racing http://www.powerslutracing.com の「MAGNETIC DRAIN PLUGS - BY THREAD SIZE」にある「Magnetic Drain Plug - Thread Size M18 x 1.50 (Large Magnet)」であり、最大級のマグネットを組込んでいるようです。

【マグネット付きドレインプラグのその後:2016.10.16】

 上記のマグネット付きのドレインプラグの効用は如何に?

 下の写真のように真っ黒くなった鉄粉が何とも沢山付着していました。これは直視したくない光景でありますが、現実なのです。ある意味でエンジンの内部の状態のもっとも確実な可視化の一方法かと思います。

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 これは何が原因なのか?マグネットがなけれなこれらの鉄のゴミは常に回っているのだろうか?オイルフィルターがあってもこの状態です。

 自動車会社の研究&開発部門ならば徹底的な調査をすすめるでしょうが、素人の個人ガレージではそんな余裕もナレッジもありません。取り合えずは、マグネット付きのドレインプラグに感謝して、ゴミを取り去り綺麗にして、新しいオイルに交換しました。

【歪みの修正の例】

 以下の写真は、これから歪みを修整しようとする箇所です

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 ガスバーナーで暖め、ハンマーのヘッド(角/丸)、レンチのエクステンション・バーの先端、ドライバー(-/+)、また木片各種を適材適所に使って、根気よく、しかし大胆に、妥協(これが一番重要)をしながら修正をします。特殊な道具は何もありません。ドレイン・プラグ廻りの細かい歪みはドライバーが役立ちます:

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 出来上がりは以下の様です(最近,車検時にリフトで上げた際に撮影、ブラックの耐熱塗装入り):

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 上記の超強力グネット付きのドレインプラグは、もちろん使用しました。

【18mmサイズのドレインパッキンの例】

MonotaRO (2012.4.29現在)

(SE, Original 2012.4.29)
(改編:2016.10.16)
(Refined 2020.6.26)


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