我がコンテッサ、2013年に約20年弱の休眠を経て公道復帰を果たしました。その間に実に数多くのことを盛り込んだ謂わば "2013年型日野コンテッサ" と自画自賛していました。しかし、すでに7年を経て、立派な中古車であります。また、そろそろあちこちと予防処置的メンテナンスをしておかねばならないと感じています。
今、新たな日野GR100型エンジン制作を目論んでおりますが実に亀のような進捗状態であります。ここに来てCOVID-19で最重要なキモとなる部品 (エンジンメタル) が海外から到着してません。トラッキングの画面をみると現地で張り付いたように滞っています。
今日は整理のために "2013年型日野コンテッサ" に搭載した現行エンジンを分析してみたいと思います。
実際に作業した時期は2000年の半ばでもうすでに15年の時が流れています。当時目指したことは、自分の基準で、最上のノーマルエンジンを組む、ということでした。ボア アップなどもせずにノーマルのままでどれだけ気持ちの良いエンジンにするかという命題でした。
標準が65馬力ならば、8馬力アップの73馬力程度、実に大したことのない額面の数値です。以下がシミュレーションの結果です (青線:標準クーぺ、赤線:現行エンジン) :
データはSAEですので15%程度差っ引く必要があります。8馬力アップの期待的要因は、 (1) 吸気バルブ:36->38mmに増大、(2) 標準の256度からスポーツキットの272度に (リフト量は変わらず) 、最大トルクを4,300rpm、最大馬力を6,000rpm程度上にシフト、(3) マフラー含め排気系の改善など。
シミュレーションの結果では明確に低速トルクの低下や見られます。これはもう少しシミュレーションでチューンアップが必要だっかもと反省しおります。しかし、後はどう気持ちよく回すかで、いままでの経験をもとに以下のようにしました:
- 排気量:1,251cc、ボア xストローク、71X79mm
- ブロック:日野の最後の作品であるトヨタブリスカ用、最終版でベストな構造と思われる。
- クランクシャフト&フライホイール:同上でダイナミックバランスを正確に調整したもの (過去に施し済) 、またオリジナルの状態でベストな機械加工と思われる。
- コンロッド:一応、バランスどりを再度行う。念には念を入れて!
- ピストン:正確に4つの重量合わせ、ポリッシュする。
ピストンピンを軽量化する。(余計なものは落とす)
リングがオイル上がり対策以前の圧力の弱いものにする。(機械損失低減)
多少のオイル上がり&オイル消費は目をつぶる。 - オイルポンプ:リリーフバルプのスプリング圧強化 (1mmワッシャ2枚かます)
- オイルパン:片寄対策で簡易なバッフルを入れる。(機械損失低減)
- ヘッド:ブロック同様にトヨタブリスカタイプのものにする。面研:1mmを施す。
バルブの当たりをちゃんと機械加工する。
バルプ口径のスロートの部分を寸胴にする (これはトルクアップに経験上最も効果あり)
IN/EXポートの軽い調整 (過去に施し済だが) - カムシャフト:スポーツキット。ただし、新品でなく表面の痛みをオイルストーンで調整をする。
- 吸気系:キャブレータ。ソレックス (SUでも良いが) 、とにもかくにもばらしてクリーンアップ、そしてOHキットを再組立する。
- 排気系:BRE要求 (非売品) の等長&小径のものを使う。(排気効率向上)
- 冷却系:機械式WPを廃し、Davies Craig社の電気式WP (80L/分) に替える。(機械損失低減)
機械式ファンを廃し、電動ファンに替える。(機械損失低減)
ヘッダータンクの使用してヘッドのエア抜きのバイパスも設ける。 - 点火系:無接点式でのDIS、所謂同時点火方式を入れる 。(燃焼効率向上)
- 電装系:オルタネータのプーリを大径に。(機械損失低減)
などなど、多くは基本構想で考えたものです。それにしたがって地道に工作を進めました。目下のところ2013年公道復帰以降、およそ8,000kmの走行で今日まできました。その間の問題点は:
- 一応、想像は出来たが電動ファンは常時オンでなければならなかった。また、高速走行には役不足だった!ヒーター設置と兼ねて、フロントにサブラジエータを増設した。Davies Craig社のブースターポンプ (25L/分) を使用。この対処により、電動ファンの動作は飛躍的に少なくなった。(末尾のダイアグラムを参照)
- 通常走行は問題ないが、ジムカーナの急旋回時の問題:
- 右旋回時に油圧低下。バッフルを設けたがオイルパンの形状で左側に極端に寄りやすい。
半世紀以上も前に設計された日野GR100エンジン、当時としては新鮮だった30度スラントエンジン、オイルパンまでの傾斜させた設計そのものが原因と分析。 - 燃料ライン、旋回時にエアを噛む。ガソリンタンクにバッフルなど対策必要あり。
この独特の形状のタンクでなぜバッフルを設計に入れなかったのは理解に苦しむ部分!
- 右旋回時に油圧低下。バッフルを設けたがオイルパンの形状で左側に極端に寄りやすい。
以下は主だった工作時の画像です。一つ一つが時間のかかるものでした。楽しかった思い出です。