今年も縁あって見学することができました。初回から皆勤で5回目となります。
今年は4月の予定がCOVID-19の影響で開催できず、結果的にこの7月31日 (金) 〜8月2日 (日) の開催となりました。昨年のような華やかな雰囲気の会場から一変して極めてビジネスライクな休憩スペースも飲食スペースもないやや小ぶりの会場となりました。この大きな変化に多くの出展者はそれなりに努力されて今日に至ったことはクルマ文化ファンとして大いに拍手をおくりたいと思います。
以下は独断と偏見の個人のインプレッションです:
1. ベストな展示 - 感動もの!
<本田技研工業>
まず筆頭にあげたいのが "RC166" のエンジン、普段はカウルに隠れて見えない、究極の6気筒、空冷4ストローク直列 DOHC4バルブ 60PS以上.18,000rpm! しばらく見入っていました。
上の画像の角度からみると、4輪車のホンダ1300が頭に浮かんできます。以下の画像の空冷1300ccをみると当時の本田宗一郎さんの夢が何だったか、ひょっとしたらこのエンジンを突き詰めて行けば駄作の域を脱して秀作として世界に知らしめる時代があったんではないかと妄想します。
そしてF1 1967 RA300、イタリアGP優勝者です。談笑されている元日産の中村史郎さんがいました。会話をお聞きしていると、ホンダの方は、この個体はマグネシウムが多く、50年も古いものの維持に難しさがあることを説明してました。なるほど、当時のレーシングカー&エンジンはどれもこれもまさにそれであります。日野のレーシングエンジンもLe Grand (日野サムライが使用) の足回りも同様であります。
<トヨタ自動車>
今年初頭に全世界にプレスリリースがあったGR Heritage Parts、所謂、トヨタ2000GT、A80/70スープラ向けです。ここではミッション&デフの現物展示がありました。
説明員の社員の方とゆっくりお話ができました。展示は初期型とそれ以降のものを再生産された部品とのことです。初期型は強度の問題で結構設計変更をされたとのことです。なるほどシンクロのリングなども容量が大きくなってました。
このような再生産の問題は第一にコストだそうです。会社として進めるにはかなりのハードルがあるとのことです。やはり、トヨタ2000GTは別格として、A80/70スープラの世界販売とその背景が見えるようです。日本国内だけのマイナー車には無理なようです。
もう一つの問題は現物と図面の相違、つまり現場で変更されたことが図面に反映されてない場合があると、おそらくこれはどこのメーカーでもある問題、課題です。特に図面通りでなかったデフなどは現物もないので制作してからの調整だったそうです。
後は当時の工作精度とか材質の問題、そして製造のプロセス&工具など、これらは今の進化に沿った方法のようと推測しました。
いずれにせよ、世界のトヨタがこのような活動をすることは日本車の文化向上として必須であり歓迎するものです。
2. 尻にエンジンをぶらさげたクルマ - 所謂、RR
<ヤナセクラシックカーセンター>
メルセデスベンツ 1936年の170Hです。リアエンジン車です。縦置きエンジンの前にファン&ラジエータを配置してるようです。第二次世界大戦後のルノー4CVのレイアウトの原型はここにあるようです。もちろん、後の日野コンテッサ900も同じレイアウトです。実は戦前にこのレイアウトができたのです。しかも170Hはエンジンルームにラジエータの熱気を出さない構造です。さすがドイツの技術です。このような考えができることをうらやましく思いました。
<マツダ>
マツダ 1976年のボンゴ トラックです。おそらく発売開始は1966年です。同じRRの当時のキャロルの横置きではない縦置きエンジンです。当時としてはRRはプロペラシャフトが無いことは設計が容易でコスト安、しかも低床が可能であったことが理由でしょう。非常にきれいにしかも余計に飾り立てることもないレストアで好感が持てました。
3. この場ならでは - バーゲンプライス!
アルミポリッシュのMothersのブース、丁度、手持ちはほとんど無くなってきたので、出店してれば購入しようと目論んでました。ビンゴ、2,000円、しかも消費税込みです。これはバーゲンプライスです。米国のストリートプライス並です。
4. 高嶺の花- これは別世界!
ミニ・リマスタード、MG TA、LANCIA FULVIA、BMW 3200CS、Porsche 912、日本のスカイラインなどなど、軒並み軽く1千万越えです。国産の小ぶりなファミリーカーもかなりの額の数百万。ここでの販売を目的としてる個体はどれもこれも正に高嶺の花でした。と、思っても絶対的な購入意欲はないので拝ましてもらうだけで十分というものです。
以上です。
やはり夢のような時間&空間でありました。この業界のトレンドを理解するのもよいものです。また1年ぶりにここで再会する人もおりこれもこの場が成せる効果です。
全体感としては昔のその時代にカーグラフィックを見てるようなものかな?、すなわち自分では購入できないファンタスティックなクルマを誌面で見てフムフムと楽しむ、このイベントはそのような場とも感じました。でも誌面はあくまでバーチャルエクスペリエンスの世界、ここは現物のリアルな世界です。いつの日か、クルマの匂いとか音も感じられる “走る感" ある個体を展示したクルマ文化の真のエクスペリアンスがあればイイなと願うもうのです。