今日は早3月末の31日、今年の桜はあっという間に開花、すでに散り去ろうとしています。
我が日野コンテッサのGR100エンジン、ここ一月余り内燃機屋にブロック、クランク、もろもろ預け加工をしています。その中で不合格となったのがブロックとコンロッドです。先週、新たに預けたもので取り敢えず合格サインがでて今、加工に向かっております。
そんな中、長い間、考えていたフォードのKENT CROSSFLOWエンジン、リビルド&チューンアップ本を入手 (画像) 、よく言われてる “711M” (発音は “seven-eleven M” とのこと) ブロックは何かというのも知りたかったのです。この参考書によると、ブロックの横にある鋳造ナンバー “711M” がもっとも強靭であること、とくにクランクキャップがそのようだそうです。
このフォードのエンジンを高性能にチューンアップしたいならら “711M” ブロックを使えだそうです。また、この参考書でわかったのは何の変哲もないOHVエンジンであることです。と、いうことはやはり見てくれは同じでも出来の良いブロックがありそれ選ぶ必要があると理解するものです。
では。何故、こんなことを学びたかったかです。それは今回、内燃機屋で不合格になった黒のブロックです。
上の画像がそのブロックの下部です。5つあるクラック (5ベアリング) の中、左端の大きなキャップ (#1) 、そして右から二つ目の小ぶりのキャップ (#4) が一般的な測定位置で許容値よりもかなり過大だったのです。すなわち楕円になってると、回せばそのクランクジャーナルは踊るようなものです。
と、いうことでキャップの問題で、上述の “711M” ブロックを思い出し、探求してみたのです。そうかやはりブロックの出来かという結末です。また、キャップ、日野のGR100のプレミティブさに比べて “711M” の合理的に見えるキャップは実に魅力的な形状です。
このダメなブロックのシリアルナンバーは、GR100-102874です。合格となったのはGR100-106241です。前者はおそらく昭和39年末の日野GR100エンジン生産の初期と推定、後者のそれはそれから一年以上経たコンテッサ末期のころと思います。と、言うことは日野GR100のブロックは最後のものがもっとも良いと言われてた証しなのかと思いました。これはあくまで推測でさらなる調査&分析が必要です。
もう一つがコンロッド (ポリッシュ半ばです) 、やはり不合格になったのが以下の画像です。
これもビッグエンドの規定値超え、それは1/100ミリ、内燃機屋は街乗りならば許せるなど言われました (冗談?) がやはりこれは使ってダメということで納得をしました。
このコンロッドは日野コンテッサ市場撤退後の昭和43〜44年、富士を走っていたエンジンのものですが、実は量産品、正確にはコンテッサ生産中止後に新品が入手できたトヨタブリスカのものでトヨタロゴが入ったものでした。
しかし、ビッグエンドが規定値超え、でも推測ですがその程度のエラーでも量産品はオーケーだったのかもしれません。あるいはレースで酷使があったのかも。
下の画像、右が量産のコンロッド 、左が今回、内燃機屋で規定値内でOKとなったものと同型のものです。お分かりと思いますがキャップボルト含め構造がまるで違います。実はこれが品番が7で始まる試作品あるいはワークスチーム用です。
今回、ブロックやコンロッドにもいろいろなシビアな品質や出来不出来があるものだと感じた次第です。おそらくエンジン全体がそのようなものだと、つまり、KENTの “711M” に帰結した訳です。