2018.1.10 SNSでの議論 – スイングアクスル&ジャッキアップ現象

 先月の12月 (2017年) 以来、右の画像のように我がコンテツのリヤのポジのキャンバーについて、SNSを通じて議論してました。その中味をここに記します。詳細については別途,寄稿します。
 これが今では完全に市場から消え去ったリヤの足の特徴です。50~60年代にRR車を中心に利用されたスイングアクスル (Swing Axel) というものです。
 ルノー、シボレー・コルベア、ビートル、トライアンフ、ベレットなど多く使用されました。いずれも画像のようにポジになるジャッキアップ現象 (Jackingup Effects) が避けられない問題でした。
 シボレー・コルベア (Chevrolet Corvair) はラルフ ネーダー (Ralph Nader) から転倒する事で “いかなる速度でも危険 (Unsafe at Any Speed) ”と言われ、1964年型でキャンバーコンペンセンタ (参考:Googleの画像検索) を後付けしましたが翌年の1965型は全面的に変え、スイングアクスルをやめて完全な独立懸架となりました。
参照:
 トライアンフもまったく同じで、
のような有様です。70年代には完全に世を去った実にクラシックあるいは死語となったテクノロジーです。
 ビートル、すなわちVWの空冷は、1969年以降はIRS (Indepent Rear Suspension)、すなわち完全独立懸架となりました (参考:Swing Axle vs IRS Transmissions – How to tell the difference – Air cooled VW Tech TipsVW Bug Swingaxle to IRS Conversion with Bus 3 rib Transmission Sandrail Buggy Jig) 。すなわち、シボレーのコルベアもVWのビートルを早々とスイングアクスルを捨て去ったのです。
 いすゞのベレットは1963年から70年代の最後のベレットまで同じ構造でした。ただ、コルベアなどと同様にキャンバーコンペンセンタ (参考:Googleの画像検索) を入れて、最初は一枚のスプリングですが、GTRでは3枚になりました。レース向けは4枚とほとんどストロークはないでしょう。その間、後になってですが、ユーザーが選択できる様に、すなわちスイングアクスルを嫌う人はリジッドアクスル(所謂、ベレットのB型)を用意してました。スバル360も同様ですがおそらく最後まで何の手当てもないままRRの終焉を迎えました。
 スイングアクスルのキャンバーコンペンセンタは補完的なものでその動きの問題や弊害は完全に解決できません。
 スイングアクスルの採用された理由は当時として構造が簡単で安価だったことです。しかし、結果的に最大のソリューションは歴史的にみて “スイングアクスルは使わない” ことだったのでしょう。
 ルノーも同様ですが70年代に入りすべてFFになったのでこの形式はなくなりました。アルピーヌA110も70年代に入り完全な独立懸架になりました。しかし、ルノーは面白いものでこの恐怖の構造、すなわちその欠点をうまく長所に活用してました:
 とにかく、すごいですね、昔のラリードライバーは!
 欧米では今もって、このスイングアクルを持ったクルマを愛している連中はどうしたら良いか、その構造,歴史、そして改善方法をディスカッションルームで多く議論&共有していることは実に羨ましいことで、また勉強させていただいてます。
 日野自動車が1966年初頭、米国のBRE (Brock Racing Enterprises) と契約を結び、コンテッサ1300クーペを託した際、当初の技術メモによれば、最初の問題がこのスイングアクスルであり、その日野独自のコントロールの設計でした。BREからの何故?に対して,明確な回答はなく、工業製品の低価格策だけだったようです。BREのシャシーデザイナーのTorever Harrisさんのレコメンデーションはなるほどと言うものでした。
 我がコンテッサ、昔、TC2000のコースを走っていた頃は、ポジが出ない様に、フリーの状態でアクスルを水平にしてました 。街乗りも問題もなく、あるとすれば、我が家のガレージの出入りを曲がりながら行うと段差でリヤのどちらかが浮いて3輪になる、もう一つは、タイヤの交換が簡単にできない事です。タイヤが下がらずフェンダーが邪魔するのです。結果的に、スタビ、スプリング、リバウンドストラップなど外して、完全フリーにして取り付け、その後に外しておいた諸々をタイヤをジャッキで持ち上げながら組むという変則的なプロセスを必要としたことです。
 実は、上の画像のポジの状態がそれらを分解する事なくタイヤを簡単に交換できるギリギリの状態です。通常のコンテッサはもっと下がり、ネットのトライアンフの如くです。昔、これでよくドライブしてたなと思います。それほど、限界まで使わなかったのでしょう。
 ただ、コンテッサの大先輩(今、生きておられれば、100歳越え,参考:RRの再発見 – コンテッサ1300S)の意見、箱根の三島側の1号線の下りのカーブでは “ブレーキを絶対に踏むな、アクセルを踏む込め” 、というものでした。これはもうお判りと思います。ブーキを踏めば、ノーズダイブにしかも下りなので余計にダイブする、且つカーブですので、完全にポジになる、そしてスピンにつながるでしょう。その先輩の “アクセルを踏む込め” は後輪の接地面&駆動面を全部を完全に道路につけて置けということだったのです。今のコンテッサ乗りにはない当時なりにドライビングの高度なイテンリジェンシーが自然に身についていた様です。
 このスイングアクスルが日野コンテッサにとって良かったかどうかはクルマ自身の進化なくすぐに市場から消えたクルマに問うことは困難です。正常進化となる日野コンテッサ・マークIIには少なくともシャシーについての進化は残念ながら見られません。ただ、当時のアルピーヌ・エンジンニアリング社製作の試作モデル、日野 スプリント GT1300は、スイングアクスルではなく完全な独立懸架の構造を組込んだことをここに記しましょう。
 そんなこんだで、2018年仕様を今、作ってます。前輪、後輪ともにジオメトリーを変えます。2月からほぼ隔月でビ筑が始まります。どうなるか楽しみにしております。可能ならば、床下にカメラを取り付け、車輪がどう動いているのかビデオを撮ってみようかなんて考えますが、これは無理からぬことです。我がコンテツは相も変わらず “ブルービンググラウンド (実験場) ” の域を脱してない様です。
 (以上、より詳細は別途、寄稿する所存です)
20170110 SE Original
20260524 Renewed