SUキャブレター - 実践編


 日野コンテッサ1300クーぺ並びに1300Sには、当時のスポーツカーあるいはスポーティカーの常套手段として、ベレットやコロナなどと横並びにツインのSUキャブレターが装備されています。

 一般的に、あるいは旧車としてSUキャブのセッティングは難しいと思われていますが、基本的に難しいものではありません。巷にあるような神業は何も無いのです。必要なことは、理論を知り、それを現物相手にどうするかだけであります。そう、実践あるのみです。

 ここでは当サイトオーナーが考えるあるいは実行しているるポイントは記述します (参照データ:日野コンテッサ1300クーペ整備解説書_2-8_キャブレータ) 。尚、ここに記述した問題点などはすでに半世紀以上も経た旧車としてものでなく、新車として発売から10年もしない当時にすでも抱えていた「愛すべきコンテツ」の問題でもあります。

 先ずは前提として以下のことをチェックあるいは確認したいと思います:

  • 電気&点火関係は完全であること。これはイリジウムと使うとか高価なハイテンション・ケープルを使うとかそのような問題ではない。そのようなものを使わないでもあるいは頼らないでもちゃんとするということである。すなわちプラグは例えば、BP-6ESで十分であり、並みのハイテンション・ケーブルで良い。
  • 燃圧は正常であること (コンテツの電磁ポンプは、0.15kg,最大0.35kg) 。高すぎも低過ぎもダメ。特に高過ぎに注意。高すぎはガスが濃くなりプラグがかぶり気味になる。最悪は生のガソリンがシリンダーに流れ込む。適切な燃圧の電磁ポンプを使うことである。
  • 調整時はバキュームははずすこと。これ結構忘れている。これは二つの前後のキャブのマニフォルドの負圧を正確に得るためである。さらにタイミングを調整する場合はディストリビュータの進角を無くす目的でもある。
  • 日野のキャブの問題は、前後のリンクをとっている10mmのシャフト (鉄製) の部分がマニホルド側 (アルミ) を削って、ガタが出ること。そのようであれば完全に補修しなければならない。ガタがある場合は、前後のキャブのバランスの調整が完全にとれなくなる。勿論、走行にも明らかな影響が現れる。
  • インシュレータのひび。少しくらいのひびはどれでもあり、新品でもほどなく割れてくる。結果的に、亀裂が発生し、ひどいのは漏れるほどに、しかしこれはかなりレアケース。これはヒビの浅い時期から予防を、シリコンゴムなど。さらに防振は期待できないがベークライトなどの断熱性材料で代替品を制作する。DYIでも制作できる。防振対策は必要であるがなくても心配は不要と考える。
  • もちろん、フロートやバルブが正常であること
  • 同様に、ガスケット類も正常であること分解したら新しくすること

 などなど。すべて基本的なこと。その他もあらゆる場所がすべて正常なこと。そこには何らマジックも神業の存在しません!

フロートの調整 - 油面調整

 フロートの高さは「日野コンテッサ1300クーペ整備解説書」のようであるが、これは日立のSU、例えば日産など、すべて(ホボ全車種)同じであり、コンテッサ独特のものは何もありません。このフロートの高さ,湯面の高さについて、何を意味しているかが重要であり、それはメインジェットの吹き出し位置との関係を指しています。これはSUにあろうがなかろうがすべてのキャブレータの共通事項であります。以下の図をよく確認ください:

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 油面が高くなれば、メインジェットからガソリンが洩れ出てしまうことが理解出来ます。要はメインジェットから燃料が負圧によって吹き出しが可能であればよいのです。マニュアルのフロートレベル調整の「フロート・レバーの高さ」14~15mmはそれを指しています。でもあまり細かいものではないと考えます。湯面の高すぎは良くありませんが、少し低い分にはそんなに問題ないと考えます。当サイトオーナーの場合は実際、15mmより気持ち多めに設定してリスクを減らしています。この調整は次ぎのような簡単な工具を使っています。

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 本来は円形の15mmパイプ (教則本にドリルの歯がよく出てきますが素人はそんなサイズの持ち合わせはない) がスジでありますが、15mm角のアルミのアングル材を利用して、真ん中に1mm程度のカットしただけの工作をしています。実際の使い方は,上の画像のようです。丁度、フロートのレバーは真ん中に入れて、高さの15mmをチェックする。フロートレバーの厚さが1mmほどなので、アングル材のカットした部分に入れれば、カットしない部分からレバーが出るかぐらいのところに調整すれば良しとしています。あくまでおおよそであり、それで必要にして十分であり、理論を無視しなければ良いのであります。

油面の可視化

 そして、現実的な油面の位置の可視化とそのレベルは以下のようす。これは上記のフロート・レバーの高さの調整だけではなく、燃料ポンプの圧力など諸々の総合的要素な結果であります。日野の基準値だけで適正な油面の位置を得ることにはならないのは、それはスタティック (静的) なものであり、燃料ポンプ、すなわちIGオンで電磁ポンプを動作させて動作状態に近い実践的なダイナミック (動的) な状態が必要なためです。「油面の可視化」は重要且つ効果的であると考えます。このビニールチューブはフロートチャンバーからのジェットへの燃料パイプ出口に差し込むだけです。大気圧を使ってのパスカルの原理の応用となるのでしょうか、要はフロータ内の油面の位置を外から見ようというものです。

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 基本データにある「フロートレベル:20+-1mm 燃圧 0.35kg」とは、この「およそ19〜21mm」を言っているのです。

ガス濃度の調整

 SUキャブは排ガスなど車検にやっかいと言われるのが一般的のようでし。しかし、それは一部の修理屋の言い分で、原理&原則をちゃんとしておれば何も難しいことはありません。

 文献によれば、SUキャブは理論上、通常走行向けにセットする場合、メインジェット、すななち、ニードルと間隙がアイドリングの位置、すなわちニードルの底の部分で、およそ0.025mm程度 (以下) でCOは1.75~2.5%程度(これが理論値)、これは走行には如何なる場面でも何ら問題ないものです。SUが車検をパスさせるに調整が面倒、車検を通せば結果的に走らなくなると言う話しではありません。もしそうであれば調整が悪い、またどこかに病気をかこっている、あるいは理論の理解不足(経験?)だと推測します。この1.75~2.5%程度というのが一番理想的な混合比になっている筈です(目視出来れば一番良い)。レースなどはもう少し濃い状態で4~5%程度の調整方法が一般的ですが、これは一般公道車へのプラクティスではありません。

 ただ、これを実際、どのように調整&チェックするかが問題です。ガレージオーナー (すなわち当サイトオーナーような素人) は、CO/HCなどの測定器などは持つことは不可能であり、そのようなことを前提として調整出来ません。

 ピストンを指で上下させて、ガスの濃淡を起こし回転が上がり下がりを見るのも基本的な調整方法であり、教則本の定形句であります。しかし、それでは実際にどう燃焼しているのか、マフラーのテールパイプとかプラグの状態の所謂、読むことが求められます。

 それもよいがもっとダイレクトに読む、すなわち可視化できる方法が、世の中には便利ツールとしてあります。それはおよそ当サイトオーナーも1970年代のはるか彼方に入手したのが英国Gunso社のカラーチューン (Colortune) です。

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 カラーチューンの商品名称が示すように色でのチューニングです。燃焼状態が解るようにガラス面を持つダミーのプラグを使い、正にシリンダーの内部の動作時状態を以下の様に可視化 (目視) 出来る優れものです。

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YouTubeのGunson Color Tune Plug Colorに混合比の変化での色の違いを見ることが出来る。

 アイドル状態で、アイドル・アジャスターを調整し、濃すぎる場合は赤い炎、薄い場合は黄色的な炎、そして適正なのが上のような青の完全燃焼状態です。この状態で車検のために民間車検場のテスターでチュックすると、CO値はおよそ2%強くらいに常に出てました。車検のために安全策として予め半回転くらい締めると1.25~1.75%くらいになる。但し、これだと走行にはちょっとたよりない状態です。現実には上記の青の炎がベストであり、この状態だと走行にも問題ない。何十年も前、要はSU全盛の時代の逸品ツールだが今でもちゃんとその会社が健全のようなのが如何にも英国らしいと感じております。。

ガ濃度の外気温 (季節) の関係について

 残念ながら、日野の当時のマニュアルや資料には何も有効なノウハウは見当たらりません。そこで、取り敢えず、参考までに同様な日立SUキャブをそなえた日産車系のデータを抽出したのが以下のグラフです。

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バランスの調整

 バランスは完全に調整すること、すなわち両方のピストンの動きは完全に一緒(同調あるいは同期)であることです。ピストンの動きを見たり、一般的なキャブバランサー (吸気をチェック) も良いですがが、SUキャブには、1970年代から愛用している便利ツールがあます。以下のような簡単なもので、ピストンに円筒状のパイプを挿入し、その先の針金の先端を動きで前後のピストンの動きを見事に可視化出来るのです。

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 このツールは昔、米国のWilco社 (ニューヨーク州) から通販で購入したものです。STE社、Madi in West-Germanyとのことです。取扱説明書によれば、すごいのはこれ一つで以下のようなチェックが出来ることです:

  • Adjusting the fuel level:フロートのレベル
  • The piston for free movement:ピストンの動き加減
  • The syncronizing:前後のキャブの同期(同調)
  • The mixture strength:混合比
  • Centering the jet:ジェットのセンター、曲がりチェック

 などなど。基本的にMGやジャガーなどの英国製のキャブを対象としたものですが、Datsun用 (すなわち、日立製のSU用) もあるようです。上記の当サイトオーナー使用のものは,Datsun用ではないが、円筒のパイプは日立のピストンにもドンピシャであります。おそらく日立のSUキャブのルーツは英国にあり、日立の設計技術者は外観は違うように設計しても中身については何も変えることがなかったと推測しております。

単純な針金と筒からなるツールだがこれほど強力なものは無し!価格も大変リーズナブル。

 この便利なツールを、今、購入出来るかとチェックすると、英国のeBayには時折出て来るようです。また、巻末に記述の参照サイトには今だあるようです。いずれにせよ、これ以上の便利はツールはないし、価格もバーゲンプライスであり、やはり英国なんだろうと考えさせられる

 以下は、一般にも多く利用されているだろう属に言う「シンクロ・テスター」。70年代、ソレックスを調整するために、当時としては大枚をはたいて購入しました。ただ、SUキャブのためには実のところ利用していません。上記の針金細工のような簡単なものでバランス調整は済んでしまうためです。でもそれがないならば、幾分でもこの「シンクロ・テスター」は利用価値はありという程度です。


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本品は当時の西ドイツのMotoMeter製。今では絶品である。でも類似品は当時に比べて
リーズナブルな価格で入手出来る。前述の “針金細工” の “STE" 社もこのフロートの
ものでなくメーター式のものが販売している。日本の販売先から容易に入手出来る。

リンクのガタについて

 アルミのムクに鉄の金属シャフト (10mm径) である故、あるいは量産&コスト理由で構造上しかたない部分です。早いものは5万キロ程度でもアルミ側すなわちマニホルド側が摩耗し、ガタが発生します。このガタも設計に織り込み済みだったのでしょうか?当時の日本の技術者は何を考えていたのだろうか疑問をいだく部分であります。

 結果的に前後のキャブの同期・同調を取ることが困難になります。何せマニホルドなので簡単に交換ということは出来ません。当時、オーナーによっては薄いカラーなどを挿入することも一つの方法でありました。以下に過去に実施した方法を示します。

 以下の写真は、タミヤのラジコン車両用の内径10mm&外径15mmのベアリングを外側から打ち込んだものです。矢印のところの奥、正確には外側から外径15mm (だったと思う) をリューターで加工を行いました。これはある程度の工具と失敗を恐れない勇気があれば、軒先で出来る。しかも、結果もベストです。レーシングカー並み (?) の品質だ!

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 なぜ、タミヤのラジコン車両用のベアリングだったのか?これは通常の規格では内径10mmで外径が小さい、すなわち薄いものが見当たらなかっただけです。マニホルドの肉厚を考えれば強度の点で薄くしたかった訳です。おそらくのタミヤのものが最も外径が小さい。ただ、「ヤワ」であるので挿入には注意が必要です。

 この方法に関してベアリングではなく、加工な楽なオイルレスブッシュを使うの良いだろうと本サイトの読者からコメントいただいております。現実的でそれもありと思います。ただ、趣味の素人工作故にちょっとできることを凝ってみたいという気持ちでもあります。

 次に以下の写真は、内燃機屋で加工してもらった。10mmシャフトに変えて、シャフト部分を少し太めの10.5mmシャフトを新造し、シャフトの穴をそれに合わせたものです。これはこれでシャフトが太くなるし、気持ちであるが若干のスムーズさも増加すると思います。しかし、いずれアルミ側が摩耗することが避けられません。ただ、10mmよりはリスクも少ないし、当時ほどのコンテツの使用頻度では少ないので時間的はかなり長期間利用出来ると考えます。必要ならば再度シャフト径を少し太らせれば良いだろう。そして、トップに気休めに油口を設けました。

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リンクのターンバックルのロッド (プラスティック) の割れについて

 以下,追って記述。

インシュレータについて

 インシュレータも今では悩みの種でしょう。まず、インシュレータの目的を考えてみましょう。第一番の目的は遮熱、すなわちエンジンの熱をキャブに伝えないようするためです。多くはベークライトなどの断熱効果かつ堅牢なものが利用されていました。ベークライトに変えてのゴム製はさらに防振と言う第二の目的があったようです。英国車の多くは今でもベークライトだけです。

 日野コンテッサの場合、問題はこのゴムの先には重い二つのキャブ本体とさらにこれまたとんでもなく頑丈 (かつ重い) なエアチャンバーをぶら下げているのです。この辺の矛盾ともいえる設計に仕組み全体について目を通し現物を持って何が起こるかを考えられる技術者はいたのか疑問を大いに感じる部分であります。エンジン本体 (日野) とキャブ本体 (日立) を紙の上での議論&判断でしか無かったのかのようです!ひび割れが発生てして、すぐに裂けてエアを吸うものではありませんが、下のような奇麗な新品も半年後には醜いひび割れ状態になってしまうのです。

 以下,追って記述。

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フロートについて

 真鍮製のフロートは当時から問題でした。以下の2枚の写真を見てもらいたい!。左のフロートはおよそ17グラムであり、右側はおよそ30グラムです。つまり右側のものはガソリンをどこからか吸込んでおり、左側に比べ、およそ13グラム重くなっているのです。勿論、この状態では、オーバーフローと相成ります。ガソリンがどこから侵入したのかは外観を見る限り、中々難しい、腐食もなくまったく普通のように見えるのです。ガソリンを外に出そうと振ってみてもどこからも出る様子もありません。

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 当時はいくらでも日野の純正、と言っても日立製共通のフロートはいくらでも手に入ったし、おそらく多くのコンテツ愛好者は大事にストックし、出番を待っているかも知れません。しかし、これは日立製、すなわち世界中の日産車に代表される共通な問題であり、ちゃんと対策部品が出されていることです。それは腐食の可能性のある真鍮製に代わり樹脂 (ゴム?) 製のものです。

 これは今だおそらく世界に何万台も残る日産車のためのものであるものの、おなじキャブ系統を持つコンテツには朗報です。日産品番16061-10400がオリジナル(旧品番)で、今は 16061-K1407 (参考:ものたろう) でいい筈だ。ガスケットもバルブも同様にいくらでも入手出来ます。 

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 ここで最近、気がついたことを紹介しておきます。上記の日産製のフロートを使用した場合、どうも油面が高いのではないかということでありました。日野の真鍮製、日産の樹脂製ともに同じ重量であるものの樹脂製は胴体部分がどうも微妙に一回り小さい (実測で) 。さらに推測を進めるとフロート内側のサイズが樹脂製はその厚み故に小さいのではないか、ということは真鍮製に比べて樹脂製は体積が小さくなるので浮力が少ないと考えました。その検証のための可視化として下の写真のように水に浮かべてみた。明らかに樹脂製は1.5~2mm程度トップが沈むことが判明しました。と、いうことはそれだけ油面が上がるということである。前述の「油面の可視化」は、この検証の結果、「フロート・レバーの高さ」を日野の基準値より1.5~2mm程度増やしたものです。

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 この浮力に違いについは、当該サイトオーナーだけの問題とは考えづらいです。同じ日立のキャブであるので日産系 (あるいはその他の同系キャブの車種も) のユーザーはどうなっているか知りたいところです。こころある旧車オーナーはぜひインプットをお願いします (こちら迄 (実名表記にて)) 。

ニードルバルブについて

 日野コンテッサ1300クーペ (及び1300S) のニードル・バルブは基本データにあるように2.0mmです。日立製ですの同じ系統のSUを使用している日産の品番:16101-10400が同様に2.0mmに流用可能であります。

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左は日野オリジナルのニードルバルブ (経年で腐食気味) 、
右は世界中どこでも購入出来る同サイズの日産用を流用したもの

 因みに日産の車種は以下の様 () 内はエンジンのタイプ:

  • FAIRLADY SPL311 (R)
  • FAIRLADY SR311 (R)
  • FAIRLADY S30 (L20)
  • SUNNY 1200GX (A12)
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ジェットニードルについて

 日野コンテッサ1300クーペ (及び1300S) の日立製 HJF38W1 のジェットニードルは「基本データ:日野コンテッサ1300クーペ整備解説書より」にあるように「M-38」です。

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 このM-38ジェットニードルを教則本 (How to Modify your NISSAN/DATSUN OHC Engine) の例に沿ってその寸法を測定するとおおよそ以下のようです:

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 マークのAのポイントがおおよそアイドルの際のジェットニードルの太さ、すなわち「2.22mm」の太さであり、本体側の径との間隙に燃料が吸込まれる訳です。以下の217、2,04、1.90、1.75、そして1.47と径が細くなり、吸気・負荷の状態によりピストンの位置が変化し、それに伴い、このテーパーのついたジェットニードルが燃料の量を調整する訳です。細くなれば燃料が多く吸込まれます。

 これの燃料の量について、日野がどう設計したが知る由もありません。重要なことがこのジェットニードルのテーパーの形状が加速性能&フィーリングだとか燃費などを決定することであります。多くの文献 (あるいは最近ではネット情報) にあるように、このジェットニードルを交換することにより、また削る、すなわち好みの性能の形状に加工することで、SUキャブはチューン出来ることです。これは当時、多く行われていたことであり、それは今でもSUの愛好者の間では世界中で行われています。参考迄に、日立の38系のニードルのデータを以下に示します:

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(参考文献:How to Modify your NISSAN/DATSUN OHC Engine)


 日野の中のある種のデータでも明らかであるが、このM-38が街乗り、あるいは高速にと適正だったかと言うと、疑問であり、それは改善の提案が外部から指摘されていました。しかし、それを市場にフィードバックしかたが問題であり、結果はそこまで日野はしてなかったようです。

 実際、四半世紀前になるが、ニードルを教則本通りに自分で削って調整したことがあます。要はアイドルでちゃんと車検を通るようにして、その状態で低中速をどうトルク、すなわち力強く加速させるかということで、それはその通りに結果を出す事が出来ました。

 ニードルの加工自体は簡単で,ボール盤でくわえて、サンドペーパーで削るだけです。ただ、どこをどう、どのくらい、というのが経験、いやむしろ勇気が必要です。ダイアルノギス片手に削っては計測し、百分の数ミリ単位でチェック (しかも2本とも全く同じに) 、クルマに装着し、テストをする、そして気にいったところまで何回か、何十回か繰り返すのです。これは勇気より、根気が勝負だと思いました。削りすぎたらアウトなのでどこで止めるか、これはさらなる真の勇気が求められます。それは正に簡単ではないのです。時間と妥協の産物でもあります。やれば出来ないことはない、だがそれは根気、妥協、リスク、諸々であり、こんなことをするならば、今式にコンピュータチューンなら何ほど楽かとイヤなほど思いました。それが事実であり、実は個人的な結果でありました。ただ、こんな面倒なことを専門家にお願いしたらいくら金があっても終わらないでしょう。

 自分好みにチューンするには、上記にある日立の日産系のニードルを選択するのも一つかと思います。少なくと日野のM-38は入手不可だが日産のそれは世界中に今でもあるのだ。(ご参考:2013.10.26, SU Carburettor Needles)

ダンパーオイルについて

 ダンパーオイルは20Wということですが、そのグレードは手元にはありません。エンジンオイルに使用している化学合成の10W-50 (10W-40含めて) を昔から使っています。四季を通じて不具合はありません。ただ、これベストというと、これ以上のものがあるのかも解らないが、敢えて,時間を割いて迄、試す必要は感じるものでもあります。

 おそらく人それぞれの目的、感性によって大いに異なるのかもと思います。ダンパーオイルの理論については多くのサイトやディスカッションルームに議論されています。特にSUキャブの歴史が深い英国では車種ごと盛んに議論されています。参考迄に、以下にMG MGB Technicalのサイトなどの議論で人それぞれは何を使っているかを紹介します:

  • 20W 50
  • 0W40
  • 3 in 1 または ATF
  • 3 in 1 また 20W50
  • 20W/50、5W/50、または 15W/40が推奨、住んでる環境による
  • ATFが良い,20W/50は硬すぎ
  • 20w または 10w-30がベスト。ただし、20wは中々,見つからない
  • 英国は、30番ないし20/50がベストと考える
  • 35年以上、ATFを使用、どのブランドでもよい
  • ミシン油、ATF (SAE90さえも) 、20W50までのマルチグレード、何でも使った。水とアルコール (酒のことか?) 以外は!
  • 20W/50を推薦

 以上であり、どれも真なりです。日本では英国より気温が高いので20W50あたりは,自分も使っているが問題なさそうです。但し、粘度だとか性質など、化学合成、マシン油、ATFなど今一、ちゃんと理解する必要があります。ミシン油については、70年代に試したが、薄過ぎて、ピストンの上がりが早いようで、息付きに近い現象で、これは使えないと感じた記憶があります (と,言ってもそのミシン油はおそらく当時のお袋の昭和30年代初期のもの) 。

 よく見れば,誰もSU専用に販売されているダンパーオイルを誰も書いていません、なるほどさすが何でも自分でやる英国人、さらに「3 in 1」とは、一般的な汎用マシンオイルを指すもので、家庭用とか、日曜大工など、錆び止めも兼ねた潤滑のための万能のような、言わば,「家庭用万能オイル」であり、これがあれば何でもかんでも一つで出来ると理解してよいようなものである。以下を参考に:http://en.wikipedia.org/wiki/3-In-One_Oil

 「3 in 1」、すなわち「万能オイル」を試したいとネットをチェックしてみました。残念ながら頼りのモノタロウにはなかったが一般のグーグル検索にひっかかりました。多くは女性コスメ関連ではあるものの、庶民の味方の「ダイソー」に目指すものがあった。早速、購入をし、試みました:

20200615 SU Float Level u


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 結果は、「これは使える」と感じた。まず入れた感じは、化学合成の10W-50よりは若干、柔らかく感じます。走った感じはまったく問題なし、これで良いというものです。この先、長期に使ってみることにしました。

 2012年11月11日追記:このダイソー家庭用万能オイルを入れてからある程度の距離をドライブすることがなかったが、この日、幸手のイベントに往復80km程度を走行した。例によって渋滞と無縁の気持ちの良いカントリーロード (所謂、広域農業道) でフィーリングを確認することが出来ました。結果的に、化学合成の10W-50よりは確実に良い、すななちSUキャブのダンパー機能がより適切に働いていると感じた。アクセルを踏んだ際に従順にエンジンが従うように感じました。四季を通じてみないと判りませんが、今のところは、「Better than 化学合成の10W-50」で、上々であります。

 MGBのテクニカルサイトの意見も「3 in 1」が実用にしている訳で、コストパフォーマンスで結果的に、市販のSU専用オイル(Mini SU Carb Damper Oil Genuine Austin Morris Rover PENRITE MGB MGA TR2 TR3A TR3 TR4 TR5 TR6 AUSTIN HEALEY、Damper Oil SAE 20)と何がちがうのだろうかと思うものです。ダイソーの万能オイルは110ミリリッターで105円 (税込み) 、これはベスト・バリューであります。

その他

 ピストンの下部にあるストッパー(プラスティック製)の規定値はおよそ0.4~0.45mm程度の高さです。これはアイドルに関係なく、始動の際に必要な最低の間隙、すなわち最低限の空気をすうためのものと理解しています。

 プラスティック製であるが故、減ることがあるようで、その場合、修正は必要です。すなわち始動がが困難になると推測します。これを長くすると良いと言うアイデアも聞いたが、それはよくある Placebo Effect (プラシーボ (偽薬) 効果) であり、気休めであり、真の効果ではないと考えます。

 アイドル状態では完全にこの長さを超えた位置にピストンがあることを考えてもらいたいです。ただ、アイドルを極端に低くし、ストッパーが接触した状態、例えば、400rpmなど、空気を若干多めに吸っているのでエンジンはストールしないでしょう。それだけであります。ただ、少し多めはそれはそれで悪いものではなく、当サイトオーナーは0.6mmくらいに再セット (ストッパーの差し替え) しています。

20200615 SU Float Level w


注意

 以上、色々書きましたがこれは商売をしている整備屋でもないあくまで趣味レベルの素人の意見です。これで何事もなく車検 (排気ガス検査) にパスして、そのままでちゃんと走っていると言う事実があることだけです。内容は素人の意見として参考いただければ幸いです。また、コメント&意見はこちら迄 (実名表記にて)

参考文献:

(SE, 2011.5.19, Original)
(改編, 2018.4.9)
(Improved, 2020.5.15)


20110328 SU CARB


20180612 Notice
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