今春初の自動車レースとして注目を集めた全日本自動車クラブ対抗レースは去る1月15日の成人式の日に千葉県の船橋サーキットで行われた。この日は、1周1.8kmのコースを30周する競技で、ツーリングIクラス(1300cc以下〉に出場したボブ・ダンハム選手の乗るコンテッサ1300クーぺは、ブルーバードSS、ミニクーパーS等の追随許さず、見事クラス優勝の快挙をなしとげた。特にこの日、ダンハム選手の乗った優勝車は、昨年カリフォルニア州のリバーサイドで開催されたグランプリで優勝したピーターブロック製のクーぺである。
なお成績は次の通り。
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ツーリングIクラス(1300cc以下) |
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順位 |
車名 |
ドライバー |
タイム |
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1 |
コンテッサ1300クーぺ |
ダンハム |
31分37秒72 |
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2 |
ブルーバードSS |
都平 |
31分41秒72 |
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3 |
ミニークーパーS |
伊能 |
32分28秒47 |
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4 |
ミニークーパーS |
都国 |
32分30秒89 |
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5 |
ホンダS600 |
若松 |
32分34秒0 |
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Iクラス出場車 22台 |
優勝に喜ぶダンハム選手
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「コンテッサ速し」 工務部 後藤 博
去る1月15日、快晴の船檎サーキットにおいて全日本自動車クラブ対抗レース大会が、JAF公認5クラブの共催で開催されたが、実にグランプリレースにつぐ規模と内容を備えた大会でおった。そこへ「チーム・サムライ」を旗印に勇躍日本レース界に乗込んできたボブ・ダンハム氏が、アノリカで歴戦したコンテッサクーペを擁して出場した。レースの出場車は、モーリスミニークーパー3台(米国でも「無敵ミニとして強豪、前日の予選でもダンハム氏は盛んにミニのタイムを気にしていた。)ブルーバードSS4台(一台はファクトリー)その他ホンダS600など計20台合ある。
11時10分、クーペがポールポジションにつく。轟音とカストロールの臭いを残し各ピットの期待を担って一勢に第一コーナーへなだれ込んで行った。そのあとの一瞬の浄寂が勝負の恐しさを感ずる短い時間である。最初のラップはミニを先頭にクーペなど一団となってグランドスタンド前を通過、二ラップ目、最終コーナーを抜けてスタンド前に飛込んできた最初の車は「チーム・サムライ」のクーペであった。真白なボディーに鮮かな赤のストライプのクーぺは、ダンハム氏のダイナミックなコーナーテクニックに加え、コーナーからの立上りの素晴らしさ、ストレートをフルスロットルで走りぬける驚異的なスビートなどを武器に他車を寄せつけず、無敵ミニとのデッドヒートを期待したが余りにもサムライクーペは速すぎた。残る29ラップをトップで走り続け、リバーサイドに続く連続二度のチェッカーフラッグをうけゴールイン。
「ラツキー!!」ドライパーが最初にロにした言葉であった。勝った。見事な勝利である。31分37秒72、二位ブルーバードSSに4秒(約120m)差、三、四位にミニが入った。観衆は「コンテッサ速し」の印象を強く受けたろう。表彰式の会場でずっしり重いトロフィーを手にした時、チームの一員としてのそれまでの苦労がす−っとぬけてしまった。やはりレースは勝たねばいかん。そして何度でもあの「ラツキー!!」という言葉を耳にしたいものてある。
(日野社報、昭和42年4月より抜粋)