コンテッサ1300のエキゾース・ノート (排気音) は独特なものであります。好調なエンジンを持つエキゾースノートは乾いた音色、そしてクルマが軽そうにあるいは微笑みをもって走っているように感じ取れるイイものです。
学生の頃、多くのコンテッサが未だ街を見られました。歩いていて、後ろから来るクルマの音を聞いてすぐにコンテッサがやって来ると解ったのです。おそらくそれはボクだけではなく、当時のクルマ好きの若者あるいは子供達は目を手で覆うたりして、クルマの車種当て合戦なんかも日常の遊びの一つでした。
今迄、多くのコンテッサ1300のマフラーをお釈迦にしたが腐ったりしたものだからすぐクズにしたりしていました。しかし、大分、以前からチャンと分解して、一度、その軽やかな音色の構造をじっくりを見たいと考えていました。
今回、そのチャンスと思い、昨年 (2009年11月) ,袖ヶ浦の走行会でお釈迦になったマフラーがあったので試みました。まず、センターからチョップを入れ、片側の外皮を取り除きました。これは内部構造です。このようにその中は巧妙に分割されています。
排気の流れを分析すると以下のようで、4つの部屋で消音が行われます。そして排気温度は,エキパイ直結のA室が最も高く、順にB、C、そしてDと低くなり、テールパイプへと掃き出されます。
その温度変化を検証するための可視化出来たものを示します。この特製のステンレス製のマフラーは日野オリジナルの構造を忠実に再現して製作したものです。装着後、3,000kmほど走行した結果です。A~D室へと明確な焼け具合の変化を見ることが出来ます。A室はエンジンからの高温の排気を直接受けるためステン独特のゴールドの焼けとなっています。「焼け無し」とある部分は直接排気を受けない部分であり、ご覧の通りの如くまったく焼けはまったくありません。
そして、音響的なものを分析するために断面図を描いてみました:
さらに技術的な消音メカニズムを分析してみると、A/C/D室は「高域フィルター型」、B室は「共鳴型」と診ます:
さらに解析のための「高域フィルター型」と「共鳴型」を基にフィルター構造を描いてみると以下のようになるでしょう。A/C/D室で高域周波数を低減し、B室である周波数を共振させているものと思われます:
当サイトオーナーの青春時代、遠くから走って来るコンテッサ1300独特の軽やかなエクゾーストの音色は今だ脳裏に焼き付いています。それはおそらくA/C/D室での高域周波数のカット、そしてB室での共振の効果であると分析します。心に残るコンテッサ1300のエクゾーストノートの「ハート」、ここにありです。このマフラーを設計した技術者はこんな風にコンテツのエクゾーストノートが一生ものになっていることを考えたことがあるでしょうか?単なる図面と数値だけの設計でないフィーリングとかは大事なものであると思います。
現代のCAEテクノロジー、すなわちマフラー用の解析・シュミレーションのソフトを使えば (その例) 、コンテッサ1300のエキゾースト・ノートもコンピュータ上で可能となるでしょう。おそらく、好みのサウンドも可能と思います。
参考文献
(SE, Original 2010.12.25)
(Revised 2014.6.14)
(Renewed 2020.11.12)
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