2013.11.27 第43回 東京モーターショー 2013


 今年も「東京モーターショー」を見学することができましたことはこの上ないよろこびであります。平日の午後の4時過ぎに入場しました。新橋からの足である「ゆりかごめ」はガラガラ状態で、普段滅多に座ることの出来ない先頭席を楽しめました。これではショーもガラガラではとの不安がありましたが、東京国際会議場に到着すると現地は見学者が大勢おりホットさせてくれました。以下は気に入った展示です。

ミニ、クルマの若者離れも戦略次第!

Tokyo Motor Show 04 Mini

 最近は若い人たちの興味が遠のいてこの種のイベントも盛り上がらないと言われる時代です。そんな中、今回は米国・ロサンジェルス、中国・広州と世界の三拠点で同時開催と時代のトレンドも変化しています。内容や展示方法も変化したようです。

 若者離れと言われますが、展示の戦略に大いにチャンスありと思ったのがミニのブースです。そこでは、若い人たち、特に家族連れが大勢、写真を撮ったりと楽しんでいるのが目に映り、クルマ社会の未来も明るいものと思わせるものでした。新しいミニは年齢に関係なく、こんなクルマで人生を楽しみたいと感じさせ、自分がこのミニとどうなってるだろうというシーンをイメージしたくなるエッセンスと言うかオーラ満載でした。素晴らしいマーケティンング戦略です。

BMW、技術革新ここにあり!

Tokyo Motor Show 05 BMW

  BMWにブースには世界中で話題となった新しい電気自動車、i3がフラグシップのように鎮座しておりました。ぜひ、実物を近くでみたいと考えておりました。このi3は米国のポピュラー・サイエンス誌でも2013年の自動車部門のイノベーションのトップ2になっています(トップ1のイノベーションは日産インフィニティ、日本では公表されてないし販売予定無し?)。

 何のヘンテツもないミニバンですが超軽量ボデー(日産のリーフより200kg軽い)で、その革新性(イノベーション)は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のボデーの生産技術であり、従来であれば数千万円掛かるコストを車両価格:400万円台へと大幅に現実的なものにシフトさせたことです。これは大快挙です。日本の自動車産業の生産技術が世界一だと思っていたら改めばなりません。

 欧州のクルマの進化には大いに見るべきものありです。10%しか外国車がない日本の特殊な市場環境というのも大いに反省する必要有りというものです。

日産、温故知新か?それとも懐古趣味?栄光よもう一度!

Tokyo_Motor_Show_01_NIssanTokyo_Motor_Show_03_NIssanTokyo_Motor_Show_02_NIssan

 日産のブースには興味深いというか、あるいは奇妙な格好したクルマが展示されておりました。それはコンセプトカー「iDX」です。FRのスポーツだとかで、四半世紀前のシルビアをもう一度というようなものでしょうか?あまり身近に感じるスタイリングとは思えません。しかし、面白いものが目に入りました。それは「80」のゼッケンのクルマにはストライプ、それも40年以上前、米国西海岸で活躍した「BRE 510」を彷彿させるデザインとなっております。明らかに、BREのピート・ブロックさんのラインそのものをモチーフしたものとピンときました。それは「iDX nismo」と呼ぶニスモ・バージョンだそうです。

 温故知新か?それとも懐古趣味?栄光よもう一度!なのでしょうか?いずれにせよ、日産の80周年記念として今後、色々なアクティビティを期待させるものです。楽しみです。

ホンダ、日野コンテッサのDNA!

Tokyo Motor Show 06 Honda

 次はホンダです。まず目に入ったのは我が「日野コンテッサクーペ "L"」同様にナショナルカラーに日の丸をまとった「RA271」です。高めのブースで360度見学出来、しばらく釘付けになりました。もっとも感慨深く見させたいただのは右にある独特なリア・サスペンションです。

 なぜ、これなのか?それは日野コンテッサ・ファンにとっては重要なことがあります。日野コンテッサ1300のリアの足の原型であるコンテッサ900の設計者(こちらを参照)はホンダに移籍しました。その直後、まさにこのRA271の設計・制作をしたのです。何年も前にホンダの茂木で見た際にはそれを知らなかったです。今回は、そのような事実を勉強した後ですので、やはり気持ちがまったく違いました。このホンダ最初のF1、いや日本初のフォミュラ・ワンには実は日野コンテッサのDNAが入っているのかと!

復元、猫も杓子も!歴史観・文化性は?

Tokyo Motor Show 07 Honda

 ホンダ車をもう一つ。新しい軽のスポーツ、S660も実物を見たいと駆けつけたら、そこには旧車界で話題になったS360も展示されておりました。S660もじっくり見学しましたが、このS360の出来映えを興味深く眺めており、実に複雑な気持ちにもなりました。それは巨大メーカーは何でも出来るんだと、自社のクルマをとうの昔に処分してなくってしまっても、このように作ってしまうんだということです。おそろしい程のパワーです。それも新聞などで書かれている工数(人工数)や材料など考えれば、おそらく10億円を超えていると個人的に試算しております。販促のためのマーケティング費用だと言ってしまえば大メーカーにとっては大きなものではないでしょう。それも技術伝承といろいろな理由も付けられているようです。

 昨今、日本のメーカーは一社がやればどの社も同じことへの風潮があるようです。昨年は日産が2000GTBを有志で再生したとか、最近では、シェルビーのSCCA向けの貴重な2000GTレーサーを矢田部のスピード記録挑戦車への変身(これは本当に何を考えているのか理解に苦しむ方法)とかトヨタのパブリカ・スポーツのプロトの復元、このモーターショーの会場では「ふそう名車復元プロジェクト」が誇らしげに展示されていました。どこも社員やOBの有志でと!しかも大資本を下に!

 自分(あるいは多くの旧車オーナー)が50年も前のクルマを復元・再生ではなく,毎日のように健康に乗って楽しむためにコツコツと何十年も時間を掛けていじって維持してることが余りに小さくも無駄にも見えてしまいます。

 そんなことよりも重要なことは、日々、企業が歴史観をもって自社の産物、財産を尊んでいるかであります。日本のメーカーは多くは旧いものは処分してしまいます。それは税金上の問題もあるかと思います。また所有していても完全なる動態保存ではないようです(ホンダだけを除く)。しかし、今の技術や製品・商品は過去のノウハウの上に創られている訳です。一日では新しいもの、革新的なものに出来るものではありません。一つ一つの積み重ねの上に革新的な製品は有る訳です。過去の重要なクルマを新しい若い人たちに日頃普段から歴史観、文化性をもって伝え、接させることが教育でもあるし、新しいモノへの発想にもなるものです(こらも参照)。

 そんなことを思う身にとっては、各社の進めた一過性とも言えそうな復元プロジェクトというものはあまりに違和感を感じるものです。おそらくそう思うのは自分だけではないと思います。100年以上の歴史ある欧米のメーカーに比べて日が浅い日本のメーカーでも、少なくとも、近隣の新興国メーカーにはまだ日本のような歴史がないので、これからも大きな強み、優位性、あるいは大いなる自信にもなると信じます。例えば、東南アジアで見られるように、30年前、40年前の日本車が今だ現役で生活にとけ込んでいる訳で、新興国メーカーにはそのようなものを見るに数十年の時間を必要とします。日本の製造業は革新性をもって先に進むことが出来るのです。

 最後に、日産の「iDX nismo」、その後、ニスモの関係者に確認したところ、「iDX nismo」はニスモとピート・ブロックさんのコラボレーションということが判明しました。このデザインのために日本に来日していたようです。そんなことで、12月に入り、横浜に行く機会がありましたので、日産グローバル本社に展示されている「iDX nismo」を再度、見学して参りました。

Nissan_Yokohama_00Nissan_Yokohama_01Nissan_Yokohama_02Nissan_Yokohama_03Nissan_Yokohama_04Nissan_Yokohama_05

(江澤:サイトオーナー、オリジナル:2013.12.23)


本ページへのコメント&意見はこちら迄 (実名表記にて) 。
Any Comments to here would be appreciated (Please Use your one name)


Your local time is  where you live.

全ての内容は、固有に記載のあるものを除き所有権は当サイトオーナー、江澤 智に帰属します。如何なる形式での再利用、複製、また再配布はくれぐれもご注意ください。
All contents, unless otherwise stated are copyright Satoshi Ezawa. So not reuse, redistribute, or duplicate in in any format or way. All pages are not sponsored or endorsed by Hino Motors, Ltd.
全てのページは日野自動車のスポンサーあるいは裏書きのあるものでありません。
© 2004-2018 HinoSamuri.org  - ヒノ・サムライ研