日野コンテッサ1300Sの生産台数 - 出生不明&戸籍無し!
日野コンテッサ1300Sは、1965年11月1日に発売開始になりました。セダンは走行性能不足、SUツインキャブ付きのクーペは高価で手がでないというスポーティなコンテッサを楽しみたいという日本独特のユーザー層にクーペのエンジンを押し込め、まがりなりの簡素なバケットシートを装備し、セダンのデラックスに近い価格という設定でした。
クルマの性格上、セダンと同じ区分であり、同様にPD100という車台番号で生産・販売されました。よって、車台番号からはセダン (スタンダード、デラックス) との判別はできません。製造・販売した日野自動車もそれを認識していました。無鉛・有鉛のステッカーが義務付けられた際に日野自動車からの車種ごとのステッカー送付の案内が登録データをもとに各オーナーに届けれらたものがそれを物語っていました。以下はその際の内容です:
コンテッサ1300Sの車両をお持ちのお客様は、同封のステッカーを貼らないで、誠におそれいりますが、貴方様の都合が良い時期に (出来れば50年1月31日までに) 、最寄りの日野自動車販売店へお立寄りください。ご来店のおりに別のステッカー (有鉛表示の赤色ステッカー) を給油口付近に貼っていただくことになっております。これは、現在、運輸省に登録されているコンテッサ1300S車は、コンテッサ1300セダン (レギュラー・ガソリン使用車) ” と一緒になって登録、記載されているため、コンテッサ1300S車ご使用のお客様を特に識別出来ない事情にあるためです。この点をご理解いただきまして、ぜひ有鉛ステッカーと交換していただくようお願い申し上げます。
昭和50年ですので西暦1975年、およそ40年も前の話です (2015年現在) 。このようなワケで、日野コンテッサ1300Sの生産・販売台数は公的なデータはありませんし、探し出すことすら不可能と考えていました。正に「出生不明&戸籍不明」であります。
しかし、そんな「出生不明&戸籍不明」に推定ではありますが光明が見えて参りました。それは本サイトが独自に進めている「日野小型車グローバル・センサス(調査)プロジェクト」です。大きな数ではありませんが、多くの皆さまのご協力で徐々にデータが集まりつつあります。当サイト・オーナーがコンテッサ個体について重要と考えているのが “車台番号” 、 “エンジンシリアル番号” 、そして “カラーコード” です。この “エンジンシリアル番号” が実は55馬力のセダン・エンジンと65馬力のクーペ・エンジンあるいは “S” の明確にするキーを含んでいます。
無のデータの生産台数を導き出す
クーペの場合、ある車台番号まではほぼ一致したエンジンシリアル番号(両者ともに下四桁) をなっています。また “S” はセダンの車台番号ですが、エンジンシリアル番号はクーペのものと同じです。そこでクーペの車台番号下4桁とエンジンシリアル番号の下4桁の関係をグラフにしてみました:
この分析グラフから明らかなことは次の点です:
- 1965年の生産初期から1965年後半まではクーペの車台番号 (青線) とエンジンシリアル番号 (赤線) はほぼ一致している。
- 1965年後半からエンジンシリアル番号 (赤線) の伸びが大きい。すなわち、クーペエンジンの ”S” への流用が始まったことが明らかである。
- クーペ生産初期はエンジンそのものの生産台数が遥かに多かったことが推測できる。エンジンだけは先行的に予定通り生産が進んでいたことが明らかである。
- 緑で表したものがエンジンシリアル番号とクーペの車台番号の差分である。おそらくこの数値のかなりの部分がクーペと同じエンジンを搭載した ”S” と分析する。
日野コンテッサ1300Sの生産台数はおよそ4,000台
以上のようにエンジンシリアル番号から分析推定した数値は4000あまりであり、大いなる推測として “出生不明・戸籍データ無し” の日野コンテッサ1300Sの生産データは4,000台前後と推測するものです。
個人的にはもう少し生産台数があるのかと長い間みておりましたがなんとも少ない台数となりました。
現存する日野コンテッサ1300Sは何台かはまったくもって不明であります。また公的データの運輸省届出の都道府県別登録台数では日野の小型乗用車は「コンテッサ」と「その他」としか残念ながら判断できません。
本サイトでは、独自のプロジェクトとして、「日野小型車グローバル・センサス(調査)プロジェクト」でトレース調査をしております。興味のある皆さんはぜひエントリーください。
(SE, 2015.7.19, Original)
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