日野のクルマ:日野コンテッサ900 スペシャル(誕生50周年(2011年2月)記念)
【車両特徴:技術面】
《電磁式自動クラッチ:シンコー・ヒノマチック》
コンテッサにはオプションとしてシンコー・ヒノマチックと名付けた一種の自動クラッチを用意した。一般に2ペダル (所謂、アクセルとブレーキのみで、クラッチペダルが無い) のコントロールにはトルクコンバータが使用されるが、低出力エンジンに対しては自動クラッチの方が馬力損失が少なく、加速が良い点と燃料消費率が低下しないこと、あるいはブレーキが効くなどのメリットがある。日野自動車は、この自動クラッチの採用を企画し、神鋼電機 (株) の協力を得て電磁式クラッチの研究を行った。
クラッチ本体は下図に示すように、特殊金属製フェーシング使用の乾燥単板式であり、そのコントロールは独自の方法を採用した。変速時にギヤは噛み合う前に電源が切るためのスイッチが、チェンジレバーに組込まれ、また発進時にはゆっくりクラッチを合わせて円滑なスタートをしたり、途中での変速には円滑かつ迅速な操作が出来るような機能を組みこんだ。クラッチの電源として通常はエンジン付属の発電機の発生電力を利用し、エンジンの回転数によって制御が行われる。さらに、マニフォールドのバキュームによって可変抵抗を制御し、エンジン負荷によっても制御が行われるようにした。
以上により、ドライバーはただチェンジレバーのみを操作すればそれに伴って自動的に電流を断続し、さらにアクセルの踏み加減で自動的に電流は変化し、クラッチの適当なすべりを生み、円滑は変速が可能にした。発電機の故障などへの対策として、電源をバッテリーに切り替えるスイッチをメータパネルに設け、万が一のためにも変速可能とした。
シンコー・ヒノマチック:同様な電磁クラッチは、ルノー4CVの後継であるルノー・ドーフィン (1956年発売) ですでに実用化されていた。但し、制御方式については、日野と神鋼電機の共同研究で、ドーフィンのそれとは異なる手法を採った
(SE、2011.1.28 Original)
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