クロムプレート、所謂、クロムメッキ (鍍金) というと、綺麗に見せることが目的と思われています。また、その処理も高価と思われがちです。目的をよく考えると、綺麗にすると同時に、金属表面を保護する、すなわちサビなどから守る役目があります。
当サイトオーナーとして、基本的には表面保護が第一で、第二にビジュアル的な目的があります。価格的には確かに安くない、しかしよく考える同様な目的をもって、例えば、塗装などを同様な耐久力で考えると時間工数のかかる塗装も決して安くありません。
以前、カリフォルニアでホイールの表面処理にどの程度費用が掛かるか業者に問い合わせた際に、最も安価なのがクロムメッキ、次にパウダーコーティング、最もコストが掛かるのが塗装とのことでした。時間工数を考えれば納得です。
ただ、日本ではこの種の理解があまりされてない、クロムメッキの材料とか電気代などを考えれば、安くもなさそうというイメージです。また、日本の顧客は仕上がりにシビアでそれに対する工数の増大、また厚く仕上げるようで材料費も高いのではないかと推測するものです。
当サイトオーナーとしては、日本のシビアあるいは過剰な品質でなく、基本が表面保護の観点に立って薄くても良いと考えるものです。つまり、表面保護をして使用過程のメンテナンスを楽にして、そのようなものは結果的に美しく見えるというものです。
そんなことで愛車:コンテッサ1300クーペ “L” には、表面保護とビジュアル面の目的をもって40年以上前からクロムメッキを各部に進めています。
【約40年前の対応】
1976年に本車を購入、翌年の1977年にオールペイントを進めました (右の画像) 。
その際に、塗装をガソリンを使って、日野の下地を残して表面の塗装だけを剥離するなど結構な作業を自分でしました。また、各部の取り外し、外した部品のクリーンアップ、そして取り付けなどは多くの作業を鈑金塗装屋さんに無理をいって自分でさせていただきました。
この40年以上の前の最初の大きなリニューアルと同時に結構、多くの部分にクロムメッキを施しました。すべてを記憶してませんが以下のような部分です:
- 1 => フロント、フードロッカーアッシー (上)
- 2 => フロント、フードロッカー (上)
- 3 => ベンチレータ、グリル
- 4 => ワイバー、ベース&ボルト
- 5 => リヤ、フードロッカーアッシー (下)
- 6 => リヤ、フードロッカー (上)
- 7 => リヤ、スタビライザーアッシー一式
- 8 => エアフィルターカバー (表)
- 9 => エアフィルターカバー (裏)
- 10 => オルタネータ、ステー
- 11 => アイドルギア、カバー
- 12 => クランク、プーリー&ボルト
- 13 => リヤバンパーのセンター、バックランプのケース&ステー
- 14 => フロント、バンパーステー (リヤも同様)
- 15 => ライト、固定用のリム
これらは今回の2013年型でもそのまま再使用しました。ただ、40年も経過するとさすがポリッシュをしてないとか風雨にさらされる部分は経年の痛みも見受けます。また、リヤ・バンパーのセンターのクロムメッキは今でも失敗と考えています。理由はクロムメッキに際して、プレス面のカドを剥離で削ってしまい、さらにメッキがのって、Rが甘くなってしまい、結果的に工場出荷状態のシャープなプレスの感じが消えてしまうことです。これは今でも改善したい部分です。
40年前の1977年のクロムメッキに忘れてたものがありました。今は使わなくなり、ガレージの壁に飾ってあるのを気が付きました。それらは冷却ファン (逆ピッチ) 、ウオーターポインプのプーリーとスペーさ、そしてクランクハンドルです。
上記の各部品とともにこれらも当時 (ひょっとしたら今でも) 、クロムメッキをかけるなどあまり理解がなかったのではないかと考えます。
しかし、当時、特に南カリフォルニアでのサンドバギー (Google - Images) やホットロッド (Google - Images) 、レーストラック (Google - Images) などを自分の目でその仕上がりの美しさを確かめた結果の一つの結論、あるいは全体感についてのDNAのようなものが芽生えたものと考えております。それは40年以上経た今日でも続いております。
こんなものでクロームメッキをしていたというのが右の日野のスポーツキットのエキパイです。
日野の設計の形状が良いかの議論は別にして当時としてステンレス製でサウンドのそれなりに明らかに鉄と異なるものでした。
この部位は当然のことながら高温にさられるのでクロームの表面に大きな変化があります。右の画像の通り、ゴールドに変化したりと面白いものです。
実はこの画像のメッキは2度目のものです。最初のメッキでは結構変色が激しく、もう一度やりなおしたら変化が緩やかなものになりました。
今日 (2017年4月2日) 、頼まれものの部品を探していると、肝心なものに行きつけませんでしたが、メッキモノを新たに発見しました。前後バンパーのサイド (写真は右リヤのみ)、エンジンのヘッドカバーとそのオイルフィラーです。カバーはメッキ屋さんにポリッシュをお願いしたものです。最近では自分でコツコツ磨いてますが、やはり専門業者のそれはよく出来てるなと感じました。
新聞紙は、当時、メッキ屋が包んだもので、日付は昭和54年9月21日の産経新聞でした。と、言うことは、1979年です。おそらくスペアのバンパーだったと記憶が蘇ってきました。フロントのセンターバンパーは10数年前に必要な方にお譲りしたことを思い出しました。JCCAの2017 NYMでクーペを出展してたので、お聞きするとまだ使わず大事に保管してるようでした。リヤのセンターは、現車 (2013年型コンテッサ) に使用しました。
【2013年型コンテッサの対応】
2000年初頭から始めたリノベーション、自分の考える部位について、クロームを入れることは折り込み済みでした。
それは上記の1970年代のオールペイント時の対処の延長線上にあります。
これらと同様に、コストを考慮して、綺麗な輝きを出すブラスト後のバフ掛けと省くものも選択肢としました。すなわち、目的は基本的にメンテナンスの容易性です。もちろん、必要な部位については、バフ掛けを入れることも進めました。
以下は、何度か処理を行った内容です:
《2004年3月》
まず最初に行ったのが右の画像のようにボルト&ナットのクロメートメッキでした。多くの厩舎の様な典型的な処理です。
このボルト類は結果的に使用するのは中止しました。
理由は簡単です。これらのボルト&ナットはどれも強度を要する足回りの部品です。結果的にこれらに変わって、強度を要する足回り部分は、強度区分、12.9あるいは10.9のボルトとそれらの強度区分に適切なワッシャ&ナットを使うことにしました。
同様にクロメートメッキを施したのが右の映像です。
これらはショックアブソーバやテンションロッドのブッシュのリテイナーやワッシャーなどです。
画像の後方にあるナットは上記のボルト同様に結果的に使用しませんでした。
右の画像はフロントのブレーキキャリバー (住友ダンロップ) のパイプです。クロームメッキを施しました。
結果的にこれは使用しませんでした。理由は、すでに古いもので、ナットなどの表面は必ずしも綺麗でないものです。
最終的には、新しいフレッシュなナットとブレーキ用の銅パイプでフレア加工を含めて自作しました。
右の映像は、上からシフトロッド、中央はフロントのスタビライザーバーです。下はリヤのスタビライザーですがこれは1977年に処理をしたものをクリーンアップしたもので、そのまま使用しました。いずれもクロームのポリッシュ (バフ掛け) 処理をしました。
シフトロッドは、よくフォーミュラカーなどで綺麗にメッキされており、美観が素晴らしいと思うものです。そのようなものに憧れて進めましたが、コンテツの場合は外からまったく見えない部分であります。
以下は諸々の小物部品です:
- 1 => クラッチリレーズのロッド、クラッチフォークおよび関連部品
- 2 => エンジンメンバーのロックプレート
- 3=> リバウンドストラップのサポートのプレート
- 4 => アクセルワイヤー関連
- 5 => エンジンの水のドレーンコック、トランクオープナーのレバー
- 6 => フロントのハブキャップ
- 7 => ブレーキ&クラッチマスターシリンダーのロッド、スプリング
《2005年12月》
エンジンの組宛を前にして、エンジン周りなどのクローム処理をしました。これらはバフ掛け処理を省いたかどうか記憶はさだかではありません。しかし、ブフ掛けをすればもうちょっと良くできたのではないかと記憶しております。メッキ屋に持ち込む前にブラスト処理を含め、比較的きれいに前処理をして持ち込みました:
- タイミングギヤカバー
- オイルレベルゲージのガイド
- オイルレベルゲージ:ステック部分はきれいになったものの実用上はオイルの状態が見にくいという結果にもなりました。指をひっかける部分だけで十分と考えます。
- クランクケースのブラインドプレート (セダンの燃料ポンプの取付部分のメクラ蓋)
- クランクケースのベンチレータ
- フロンタスタビライザーのブラケット
- 他、数点
《2005年8月》
この時期は右の映像のように以下のモノを進めました (おそらくバフ掛けをした) :
- 冷却系の加圧タンクのカバー (スバル系の流用) :ホースの取付の改造を施しています。(左上)
- 米国TRACO Engineering製リモートオイルフィルターのシャシーへの取付アダプタ (右上)
- 米国Tilton Engineering製ブレーキ&クラッチマスターシリンダー取付アダプタ (中左の二つ)
- エンジンスターターのカバー (中右の二つ)
- クラッチホースアダプターのクリップ (駄目押し追加)
- ブレーキ&クラッチマスターシリンダーのクレビス:Tilton用に改造品
- クラッチリレーズのホースの汎用ホース利用のためのアダプタ
- ディストリビュータのキャップのクランプ (4点) :これは結果的に失敗、強度が落ちて折れた!
《2012年11月》
組立が徐々に進んで来た時期です。ここでは右の映像のような駄目押しを含め進めました (バフ掛け指定なし、下地が綺麗なものが多かったので結果的に綺麗に見える) :
- フロントのハブキャップ:以前に使用過程品をクロームをかけましたが歪みなどありました。そこで温存していた新品にクローム処理をしました。
- ソレックスキャブ関係の主要な小物部品:燃料ライン、リンケージなど
- ブレーキ&クラッチ汎用ホースのアダプター
- ブレーキ&クラッチ汎用ホースのアダプターのクリップ
- エンジンの油圧センサーのアダプター
- リヤショックアブソーバのアダプターサポート
《2013年6月》
組立が進め、具体的にビジュアルなものが見えるようになり進めたのが右の画像です。内容は以下の通りです (左下から右回りの順に) :
- トーションバーの車高調整用ボルト、6角レンチタイプ (2本)
- バンパー取付スペーサ、これは手持ちが見つからず、結果的に中国地方の友人から急遽、セットをお送りいただきました。 (前後都合4ヶ)
- ミッション&ドライブシャフトのブーツ固定用リング (左右&大小都合4ヶ)
- オイルキャッチタンクに使用するホースアダプター、コンテツのエンジンのクランクケースのベンチレータを改造したもの (都合2本)
- リヤのショックアブソーバ&スタプライザーのピローボールの取付アダプター (左右都合2本)
- リヤのブレーキシリンダーのホース取付アダプターの固定専用ボルト (左右都合2本)
- クラッチリレーズシリンダーのマウントプラケット、クラッチフォークとの角度の関係を修正するために制作したもの
(以下から右の画像のものです)
- スアリングブーツ固定プレート (左右都合2本)
- トランスミッションのアクセスカバーの固定用のDZUSファスナーのスプリング (4本)
以上、どれもこれもボデー外部から目視できないものばかりです。残念ながらイベントなどでもそれ故にハシにもボウにもひっかかりません。
《2014年5月》
これは熱海のBLUE ATAMINO ITALA 2014向けにイタリア・キャレロのフォグランプには珍しい当時の純正のイタリアン地中海的なブルーのフォグカバーを取り付けることを試みました。せっかくですから日野純正のフォグランプステーをクローム処理 (バフ掛け含む) しました。
しかし、残念ながらこの年のイベントは当日の早朝、豪雨であり、参加断念をしました。主催者の会長さんからは、「こちらは雨があがっているヨ」とありましたが。。。
そして年を越して、2015年のBLUE ATAMINO ITALA 2015はめでたく参加することができました。
この日野純正のフォグランプステーもバンパーに隠れてしまい、残念ながら見た目にはほとんど見立たない地味な部位であります。
《2017年2月》
これはステアリングギアボックのカバー類です。一昨年から進めていたものの諸般の事情で遅れに遅れてしまったプロジェクトです。
当初は、今、使用中のそれのようにウレタン塗装 (サフェーサ、色塗装、そしてクリア) を施そうと考えてました。しかし、この小物部品にそれは手間、すなわち時間&コストが掛かり過ぎると考えたのです。
きれいでサビの処理がないので、表面を綺麗にして、ポリッシュ込みで何時ものメッキ屋さんに依頼しました。
出来上がりは思いの他よくできたと思います。
《2017年3月》
上記のステアリングギアボックの続きとなります。右のこれらのメクラ蓋など当初はメッキの予定はしてませんでした。
しかし、上記のポリッシュ込みの蓋などと比べるとどうしてもアンバランスになってしまいした。
そこでコストを下げるためにポリッシュ無しで急遽メッキを依頼しました。
これを入れてみると県南のステアリングギアボックもそれなりにバランスが取れるようになりました。
素人は出来上がりが予測できないが難点であり、正にその罠にハマったようです。最初から全部一緒にやれば、手間の時間を大いに節約できたのです。
《2017年4月》
もろもろのメッキで勢いで施してしてしまったのが、右の画像のトランスミッションのクラッチのレリーズベアリングのフォークです。メッキ屋も気合が入っていたのか非常に綺麗な仕上がりとなりました。また、工賃も想定範囲を超えたそれなりでありました。
さて富士仕様ミッションから鈴鹿仕様ミッションに交換の際に使用すべく目論んでおりました。
仮付けをしてみると何とバフ掛けした綺麗さがも不釣り合いな感じです。要は周辺のボルトやケーシングなど諸々の部品と実にアンバランスなのです。
結果的に、これに変えて2013年の公道復帰に際して使用したブフ掛けをしてないサンドブラス処理にメッキだけをしたものを入れました。この方が全体感にバランスがあります。
組んでしまえば外から90%が見えない部分ではあります。実にバカなことをしたものかと今では感じております。
バフ掛けした綺麗なフォークは利用価値がありません。ディスク上の文鎮にしております。それはそれで眺めていると形状に当時の日野自動車の技術者の努力を思うと結構よく見えて来るものです。
《2017年8月20日》
今までクロームメッキを施したものの諸々の事情で使わなかったものが多々あります。こんなこともしていたんだというのが以下のものです。
左上から右方向に:
- オルタネータステー
- 燃料フィルターのブラケット
- ブレーキ&クラッチマスターシリンダーのロッド
- アクセルケーブルの固定金具
- クランクプーリー
- ウオータポンププーリー
左下から右方向に:
- 冷却ファンのスペーサ (二枚)
- ブレーキホース&クラッチホースの固定金具
- 不明のスペーサ
- ブレーキ&クラッチのタンクのブラケット
《2017年10月20日》
前回で最後と思ったクロームメッキですが、その話題は尽きないようです。
今回はシフトレバーとそのシャフトです。どうせ取り付けるならば少し綺麗にしたいという程度の動機です。
これが一般のように仲介業車経由ではそうは行きません。たまたま、四半世紀以上、近場のお世話になっているメッキ屋との付合いがあるので気軽に相談してお願いできるためです。
シフトレバーはポリッシュも施し綺麗になりました。シャフトの方はガタを減らすためめです。メッキ屋の奨めもあり少し厚めに施しました。傍にあるボルトはシャフトのボルト穴 (10mmX1.25) にメッキがかからないようにするためです。
《2017年11月2日》
クロームメッキについてこれで全部かと思っていたらまだまだ忘れていたものがありました。
その一つが右の画像のようにバンパーブレース (通称:バンパーステー?) です。これは四半期前に施したもので、前後都合4本となります。勿論、現車に組み込んでます。
多くの他のクロームメッキ同様にこのバンパーステーも取り付けてしまえばほとんど見えない場所にあります。しかし、環境的に結構厳しい場所にありサビを呼びやすいものです。日野のストックものはごく薄い塗装で錆止めにもならないものです。
このバンパーステーをキチンとした塗装ですすめるかどうかですが、費用対効果および見てくれではクロームメッキが勝るとかんがえます。塗装であればパワダーコーティング (Wiki - Powder coating) がベストと考えます。
(SE 2017.3.12 Original)
(2017.11.2 Added)