EWP (Electric Water Pump - 電動ウォーターポンプ)


EWP (Electric Water Pump - 電動ウォータポンプ)装着


 2001年に開始した我が「日野コンテッサ1300クーペ "L"」のリノベーションに際して、冷却系統の大幅は変更をおこなった。その一つがウォーターポンプである。冷却ファンと共に総合的に、コンテッサ1300の場合、およそ6〜7馬力を消費される部分であり、これを電動にして、機会損失を低減させようというものである。稼働し始めたので適宜、情報をここに掲載したい。

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【2013.12.22:メリット&デメリット】

 ウォーターポンプを電動に以下のメリットが得られる(筆者分析):

  • 機械損失を減らすことで、若干のパワーアップと回転のピックアップ向上が期待出来る。
  • エンジン・オフ後も、水を回し、徐々に水温を下げることで、ヘッドガスケットの保護となる。
  • マイコン制御で、適切な水量のコントロールが可能。特に高回転時の水流の早さを調整出来る。
  • メカニカル・ノイズの低減が出来る。
  • 旧車故のメンテナンスの容易性を向上させ&コストを低減させる。消耗品であるウォーターポンプをグローバル製品・汎用品に換えることで安心を得る。
  • 上記同様、グローバル製品・汎用品なので、世界中のネットのオープンなディスカッション・ルームを参照出来、参加も出来る。ノウハウも得易い。

 デメリットは?:

  • コンテッサ1300ごときの超マイナーな旧車には実績や情報・データがないこと。もちろん、日本では他の旧車でもデータは皆無であること。すなわち,相当なるチャレンジであること!
  • これはデメリットであるかは判らないが、「寿命 (Motor life)」である。仕様によれば、連続運転で3,000時間 (12V DC & 摂氏80度) である。社のEWP/Fan Digital Controllerを使用した場合は、6,000時間とある。実はこれはブラシ・モーターの寿命を意味している。旧車として週末に5時間使用して、年で250〜300時間、とすると10年!?となる。楽観的に考えれば、メカニカルポンプと大差変わりないのかと思う。いずれにせよ、メカニカルポンプ同様に消耗品と認識しておくことが必要である。

 以後、適宜、状況を追加予定。

【2014.1.17:使用したメーカー&製品】

 使用したDavies Crage社の部品は以下の通り:

 上記の部品&品番は購入&取付開始当時の2005年のものあり、数年前からバリエーション(容量&筐体構造など含め)とコントローラそのものの大いなる改善がなされたものが販売されている。Daives Crage社(オーストラリア)のサイトを参考にされたい。またメーカーのTESTIMONIALS:証言・推奨、一般のGoogleによる映像サイトも参考されたい。

 この製品は全世界で販売されており、多くの車種がディスカッションのサイトで論じられているので参考にされたい。非常に勉強になる。また、購入については、日本国内の代理店(独占?)もあるが日本の古典的な手法なので、DIYで自分のクルマは自分で面倒みる方は、eBayのオーストラリアが価格&送料共にベストである。為替レートにもよるが送料込みで日本国内の半額程度と思う(日本は世界各国の価格に比べて不当に高い!)。日本の旧車ではまだEWPが論じられてない理由には、国内購入価格&流通経路の問題、そして使用情報&ノウハウの無さが原因と思う。国内だけに目を向けないでグローバルにモノ・コトを考えることを奨めるものである。

【2014.1.29:世界のメーカー】

 その他の電動ウォーターポンプの情報を紹介:

【2014.5.21:@自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展

 自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 (横浜パシフィコ) :毎年、技術の進歩を見るために見学している。今年はDavis Crig社の日本の代理店であるニコルレーシングが電動ウォーターポンプを展示していた。以下は展示担当者との会話の一部である:

  • 日本では一般ユーザーに諸外国ほど普及してない。購入の多くはメーカーの試作部門など。
  • 当サイトオーナー使用の旧いコントーラは知らない、その時代はニコルレーシングでは代理店ではなかった。
  • 一般ユーザーへの販売は代理店経由。
  • 日本では品質が求められる。
  • 最近、トヨタの86で利用されており、トヨタには取付けられるが、同系車種のBRZは取付ける場所はない。
  • その86のユーザーからヒーターが短時間では暖まらないと言う問題を聞いている。

 以上はニコルレーシングの説明員との会話であるが、日本はネットなどの場で議論されてないとのことで、課題・問題は代理店がユーザーに直接対処してるとのこと。

 上記のヒーターが冷えないというのは当たり前ではないかと考える。すなわち、ポンプが回ってなければヒーターに暖かい水は回るまで相当時間がかかる。そのためのヒーター専用の小型のブースターポンプがある筈。このヒーター用ブースターポンプはヒーター性能を上げるためにメルセデスなどには使用されている。

【2014.7.6:使用上の肝

 電動ウォーターポンプ使用上の肝:Davies Crage社の説明と経験を基にすると以下のようである

  • Davies Crage社のコントーラを使用する。Part#8020の動作は以下のようである:
    • 目標温度の設定は、摂氏75/80/85/90.95度可能。
    • 目標温度以下では、20度までは6Vで10秒オン&30秒オフ、5度までは6Vで10秒オン&10秒オフ。
    • エンジンオフ後は2分間、動作する。
  • またはラジエータ・ファン用の温度コントローラを流用する。ただし、この場合、細かい制御は出来ない。また、エンジンオフ後の動作は自動的には不可である。
  • パワー指向は摂氏75度に設定、燃費指向は高温度に設定する。
  • 基本的に守らねばならないことが、プロパンは連続運転、温度コントローラは必要なし。また競技用途の場合も連続運転とすること。
  • ヒーターは別途、ブースターポンプを使うこと。

【2014.8.16:ヒーター用ブースターポンプ】

 当サイトオーナーのコンテツは競技用途であり、ヒーターは付いてない。まだ若かった30年くらい前でも、真冬のドライブは絨毯・インシュレータなども無い足元のペダルの穴から侵入する冷気は生半可でなく、高速道路では、足をつるという経験があった。昨秋、公道復帰後、それはやはり結構きついもので、年齢を重ねた身にはとんでもなく堪えがたいものだった。そこで今年の冬に向けて本来装備のないヒーターシステムを導入することを決意。全体のシステムのイメージを考え、以下のようとした:

  • ヒーターコア&アッシーの日野の純正のものとする。
  • Davies Crage社の容量の大きい電動ブースターポンプ (EBP:Electric Booster Pump) をEBP-25 (25リッター/分) を利用する。インレット&アウトレットのホースの径は19mm (3/4インチ) であり、日野のそれと共通である。
  • この際、エンジン冷却の改善のためにサブラジエータを考慮する。アバルトのそれを参考にする (参考サイト) 。ただし、当面はこの新設のヒーターラインを利用した控えめなものとする。これについては、別途記述したい。

 などなどを考慮し、今回はDavies Crage社のオンライン・ショップを利用し、購入した。価格 (もちろん、現地価格) も送料もリーズナブルなものだった。送付は、Fedex社なので最も信頼のある一社であり、経験上、重要な要素である。

 届いて手にしたら、実物は結構大柄で、これは寸法は判っていたものの想定外だった。何の説明書も入ってなかったので、取付のベストな方法などの問合せにもセールス担当から実に丁寧なサポートをいただいた。

 コンテツのボデー (バックパネル) にどう取付けるか考えていたらポンプ・ボデーの径が日野の純正電磁プンプ (デンソー製) のほぼ同じであることが判った。そこでマウントを合わせてみたらドンピシャでこれを利用することにした。

 尚、このブースターポンプの寿命 (Motor life)」は、仕様によれば、連続運転で15,000時間 (12V DC & 摂氏80度) である。長寿命なのは、ブラシレス・モーターを使用しているためである。

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【2014.10.4:エア抜き&可視化】

 ラジータ&エンジンの水回りのエア抜きは、古今東西を問わず結構面倒なものである。多くのサイトにもその状況が報告されている。エンジンを掛け、ある程度のエアの抜いて、最終的には、ある程度の走行をして、「ホボ」抜けるというのが正論のようである。電動ウォーターポンプの場合はその方法がまったく異なる。

 Davies Crage社の説明によれば、水を注入後、5分ほど、電動ウォーターポンプだけを動かし、エア抜きを完了出来る。その光景は右のビデオの様である。ボコボコとエアが出て、こんなにもエアが入っているのかと思う。減ったら継ぎ足しをすると、その量から推測すると、おそらく最初は半分くらいエアではないかと思うほど。実際、ボコボコがホボ (と、いうのは正しいだろう) 無くなるには15分ほど必要だ。多分、5分くらいでは80%くらいエアが抜け、残りは走って抜くと、15分では95%くらいなのかと言うのが気持ちである。

 一般的な機械式のウォーターポンプに比べれば、はるかに楽で正確な方法と考える。また、キャップのところに清涼飲料のペットボトルを切って、逆さにして口の部分をラジエータキャップに差し込めば (そのままでは漏れるので、ビニールテープを固定する、これでも若干は漏れる) 、高価なエア抜き工具の代用になり、簡単に可視化が可能である。この方法は一般の機械式ウォーターポンプでも応用出来る。

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【2014.10.22:世界のサイトに見る電動ウォーターポンプ

 当サイトオーナーの現車に使用したEWP-80 (80リッター/分) の使用例を記述したサイトを以下に紹介する:

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中央のグリーンのLEDがEWPの動作状況を表す。常時回転ではなくシリンダーヘッドの水温センサーを見て、供給電圧 (6-12V) &電流を最適制御をしている。ここでは75度に設定しているが、2-3秒、ポッポッと一気に吐き出し、数秒停止、それを繰り返す。高速道路でもEWPの稼働は半分以下の時間である。

【2015.8.30:稼働後ほぼ2年、近況報告】

 およそ2年前の2013年9月から稼働状態になったEWP (電動ウォーターポンプ) の現状はどうだろうか?2度の四季を経験し、昨年はヒーター&サブラジエータ (ヒーターコア流用) の追加と専用ブースターポンプを投入し、暑さ、寒さを乗り越えて熟成を進めて来た。

 EWPについて日本の国内、あるいは旧車界には実績データあるいは情報というものは皆無であり、時折、使ってダメだったようだとか、信頼性がないなど耳にするが、それらのネガティブな言葉は実は使っている人の言葉ではなく、往々にして使いもしてない耳学問の輩の言葉である。よって信頼出来うるものではない。

 自動車メーカーのように短時間にすべてを試験することは、我々、素人&ホームガレージの開発ではできない。暑さ、寒さの試験の実際の季節を経過して試すしかない。そう、農業生産者のようなものである。

 結果的に昨年の夏は一年の走行での対策と改善を進めた。そして秋が過ぎ、冬に苦渋を味わった待望のヒーターが備わった。今年の夏は33-34度の気温では、例えば、首都高速でほぼ85〜87度近辺を一つのファンで可能となったことだ。ここまで来ると、この先のこと、すなわちさらなる改善というものが見えてくることで、何をどうすればよいのか結果をもって予測できる自信がでついた。これが今年の夏の収穫である。

 実は少し前の休日、大黒PAの手前の首都高でオーバーヒートを起こしてしまい、その現場での状況はEWPが作動してないと判断してしまった。這々の体で大黒PAに着いた訳だが、原因は自分で組んだEWPの自動コントローラをパスさせる手動コントロールが原因のようで、Davies Craig社のコントローラを使えば、EWPは正確にエンジンの水温の制御をすることだった。帰路は本来の自動コントロールで問題なく帰宅したということだ。往路の途中、30度越えの外気温の際のEWPのベストな動きを手動コントロールで見ていたのが罰当たりだったようだ。

 いずれせよ、Davies Craig社のEWPとそのコントローラは偉大であり、世界中に販売されている実績ある信頼できる製品であることは間違いない。上にある短いビデオはEWPの動作を表すLEDモニターである。

【2016.8.21:3年あまりを経過して

 本電動ウィーターポンプは公道走行に使用し始めておよそ3年近くになります。その数年前にブツを確認するためにオーストラリアから購入、どう取り付けたらよいかなど確かめ、本車、2013年型新造コンテッサに実用に向けてスタートしました。

 日野の当時の考えとは異なる全く新しい冷却の概念のもとに期待と不安の中に公道に乗り出したのは2013年9月でした。その後、冷却システム全体については、いろいろと改善を進めました。その間、冷却システムの一つの機能であるオーストラリアのDavies Craig社のElectric Water Pumps (EWP) はどうだったのでしょうか?

 一応、本車のEWP-80は今は販売リストから消えた当初のコントローラを使用しています。EWP-80の性能は80リッター/分ですが、コントローラの適切な制御で連続運転をするというより、微妙にモーターを制御して、はじめチョロチェロ、中パッパの表現がピッタリのような動作をしています。実際にはヘッドの中の水温は設定温度になると吸い出すと、そしてラジエータを通過した冷えた水が入ると吸い出しを止めるようです。比較的低い温度では常時底回転して水を回す、少し上がるとその量が多くなり、ここまではチョロチョロ、いよいよ設定温度になるとパッパと流すというような感じです。それでも高速道路走行でもおそらく半分程度の動作、すなわち断続的に数秒流し、数秒あるいはそれ以上の時間はフルには回転してません。

 ここ三年で5千キロ弱しか走行してませんが、様々な環境 (市街地から高速道、そして四季を通じて) を通じ一度の不具合もなく、本当に信頼の置ける機器であると思います。

 EWP使用を考えた10年前は国内にまったく情報がありませんでした。しかし、ここ数年、EWPに対する関心が高くなってきたようです。しかし、今だ、個人で使ってどうだったという話しがないのは残念ではあります。また、ネットの中にある記事も使ってどうだったと言うよりは、妄想的な話しにも見えます。まずは、怯むことなく使うことが先決と考えます。

【2016.10.27:3年あまりを経過して (追加) 

 先の7月末の石川県小松行き、思えば我がコンテツ、よく走ったもんだと、往路は500キロ弱、帰路は500キロ余り、一気に高速道路&山岳道路を走行しました。50年前のクルマにとっては、正に耐久テストのようなものです。

 公道復帰当初に苦労した冷却システムの変更、すなわちクロスフローラジエータ (アルミ製) 、電動ファン化&電動ウオーターポンプ化は、真夏の長時間・長距離は経験してませんでした。古典的なメカニカルな常時、回転しているファンとポンプから、必要な時に冷やし、必要な時に水を回すと言った全く異なるシステムに変えた訳です。

 今回、今までにないきびしい温度環境や山坂道の中、結果的に何の問題もなく長時間働いてくれたことです。86〜87度が最大でリアの二個の電動ファンの一つが高負荷 (速度の低い直線路とか極端な急坂道、すなわちラジエータへの十分な冷却風が得られない) の際に短時間回る程度です。総合的に以前のメカニカルコントロールに比べて明らかに水温制御が優れているようです。

 次なる目標は、水温コントロールを80度以下に下げられるようにすることです。電動ウオーターポンプを連続運転をさせればすぐドンドン温度が下がることは実験済みです。それには今のコントローラでは何らかの改造 (電子回路) をしなければなりません。モーターの制御を改善した最新式にコントローラでは可能なようです。どちらにするか悩んでおります。

【2017.3.31:EWP、Davies Craigの最近のHPから 

https://daviescraig.com.au/electric-water-pumps

(江澤, Original 2013.12.22)
(Added 2017.4.1)

make your car by youself

自分のクルマは自分で作れ!

Notice

本データ、すなわち代替品/使用可能品例は、当サイト・オーナー、また情報提供いただいた個人の見識に於けるものです。それは、FORM/FIT/FUNCTIONというレベルのメンテナンスに於ける互換性を意味するものです。実際の使用にあたっては,個人差が当然ありますので、それを理解した上でご参照・利用下さい。また、代替品/使用可能品例については、情報提供は歓迎するものです。こちらからお願いいたします(実名表記にて)


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