昨晩、眠りにつく前に開いたCARグラフィック 1970年4月号のRoad Test HONDA 1300 Coupe 9S、「HONDA 1300 設計者との対話」で 小林翔太郎さんが、ホンダの役員とエンジン&シャシー設計者に単刀直入なインタビューしています。
それら記事に画像のようなショットがありました。驚愕です。これがその当時あったホンダ1300 (Honda 1300) の不安定さ、あるいはメディアの試乗で転倒したとか聞いたことの裏書なのかと感じました。コンテッサのような古典的なスイングアクスルではありませんがジャッキアップ現象の類と分析します。
ホンダ1300の後輪は独自の考えでホイールベースを左右不等長にして、左右それぞれ反対側の車輪の近い点をピボットしてトレッド一杯の長さにしています。スイングアクスルの欠点の一つであるキャンバー角の変化を避けたものと推測します。しかし、スイングアクスルのネイチャーであるジャッキアップ現象はそれをもってしても拭い去れなかったと感じたのがこの画像です。
ホンダ1300のこの設計はおそらく先に市場に登場していたルノーR16 (Renault R16) のアイデアを得たのではないかと推測します (1973 Renault 16 and Asymmetric Suspension Configuration) 。頭が極端に重い (エンジン重量、PTとして180kg?) ホンダ1300はコンテッサ1300同様に実に短命で数年の販売で1972年には市場撤退となりました。一方、頭が軽い (エンジン重量は同じアルミでも80kg強) ルノーR16は1980年まで販売されました。
ホンダ1300の足の設計は日野自動車でルノー4CVの国産化、コンテッサ900、そして1300の一連の足の設計をされた設計者が携わりました。時間軸で見るとメーカーはちがってもクルマのコンテンツ (中味) には明確なコンテキスト (脈略) を感じるものです。
ご参考:RENAULT AND THE FAMILIY CARS : 50 YEARS OF HISTORY SINCE THE RENAULT 16