1966年5月8日:チームサムライ、USRRC、ラグナセカ レースウエイ


 当時の名称でラグナセカ レースウェイ、現在はMAZDA RACE WAY - LAGUNA SECAと日本の自動車メーカーが誇らしげに命名権を何年も所有しています。しかし、今から50年前に1966年には日本の自動車メーカーでここを走っていたのは日野自動車くらいなもので、正確には前年の1965年の日野コンテッサ900から挑戦しています。

 前回の5月1日のリバーサイドではピート車&ボブ車共にエンジンブローとなりました。一週間後のラグナセカでは、チームは喰うものも喰わず、時間を惜しんでのエンジン修復と、正に、“青い目の大和魂” という表現が生まれたのここからのようです。その間にウイロースプリングスのテスト走行を進めていました。

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 リバーサイドでのトラブルを再現すべく、判明したことは以下のようなものです:

  • スペシャルな深いオイルパンに合わせた手作りのサクションパイプの溶接不備
  • ハイリフトカム:262度、12.3ミリのヘッドへの干渉
  • タペット焼きつき、オイル不足
  • 油圧低下
  • カムシャフト・ベアリングのかじり (日野の設計の基本的問題)
  • などなど

 上記課題に、タペットへの湯量増大、油圧対策 (オイルポンプのスプリングなど) など、諸々が施されました。

 ラグナセカでの各車の仕様はおおよそ次の通りです:

  • ピート・ブロック車
    • ピストン (72.2mmX79mm) 、圧縮比:10.0
    • ピストン、コンロッド、カムシャフト、オイルポンプなど改良
    • クーリングファンは6枚
    • オイルクーラー&AC製オイルフィルター
    • 排気バルプに改善を図る
    • 出力は計測せず
  • ボブ・ダンハム車
    • ピストン (71mmX79mm) 、圧縮比:9.0、オイルポンプなどは基本的に日野のまま
    • カムは300度、バルスプリングはインナーのみ変更
    • ヘッド、マニフォールド、キャブの設定は変更
    • オイルパン、オイルストレーナ変更
    • クーリングファンは3枚
    • オイルクーラー&AC製オイルフィルター
    • 出力は軸上でおよろ62馬力/6,000rpm、気圧など考慮して、JISでおよそ64馬力相当

 レースの出場車は、同クラスではリバーサイド同様に2台のミニクーパー、そしてVWビートルの三台、ビートルはリタイヤ、45分レース、ミニは27週、コンテツは26週でした。この周回から分析できることは、平均速度がミニに比べておよそ8キロ遅いということです。当時の分析データによれば、ミニと同等な戦力にするためには、およそ13〜15馬力が必要であると報告されています。

関連参考資料】

【参戦記録】

年月日レース名称 場所 ピート・ブロック ボブ・ダンハム
1966/3/20 SCCA ウイロースプリングス カリフォルニア州 3位 4位
1966/5/1 USRRC リバーサイド カリフォルニア州 リタイア リタイア
1966/5/8 USRRC ラグナセカ カリフォルニア州 3位 4位
1966/5/29 CSCC リージョナルポイントレース サンタバーバラ カリフォルニア州 リタイア リタイア
1966/6/19 CSCC ナショナルポイントレース ラスベガス ネバダ州 3位 リタイア
1966/7/3 CSCC リージョナルポイントレース パモーナ カリフォルニア州 不明 不明
1966/7/23 CSCC ナショナルポイントレース リバーサイド カリフォルニア州 3位 4位
1966/7/31 トランザムシリーズ バージニア バージニア州 不明 不明
1966/8/14 6時間耐久 リバーサイド カリフォルニア州 1位、後に失格 リタイア
1966/8/24 SCCA ソルトレークシティ ユタ州 4位 3位
1966/9/4 26th Santa Barbara Road Races カリフォルニア州 不明 不明
1966/9/5 SCCA コンチネンタル・ディバイド コロラド州 リタイア 4位
1966/9/18 Riverside 4-Hour race for Trans-American Sedan Championship リバーサイド カリフォルニア州 不参加 リタイア
1966/10/2 トランザムセダンサーキット ラスベガス ネバダ州 不明 不明
1966/10/30 FIA/CASC/SCCA第9回タイムズGP リバーサイド カリフォルニア州 1位 4位

(註) 上記データは本サイトオーナーの数十年にわたるリサーチの結果です。当時の資料 (日野自動車の計画、プログラム、雑誌など含む) および最近のネットでの情報を基にしたものです。“不明” とあるものは、計画にあったものの実際の参戦について明らかな検証できてないものを指します。略号については以下の通り:

(SE, 2016.8.14, Original)

【注】本シリーズの内容は、本サイトの各ページ同様に当サイトオーナーの40年余りの情報収集
 (当時の現場におられた当事者の聞き取り、関係者&ユーザーの意見、各種資料の収集&購入) 、
諸々も取材、そして実車を通してのインサイト (insight:洞察、見識) を整理したものです。


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