なまし銅管の使用圧力
最近、ブレーキのハイドロの配管が若干、チャレンジとなり、最終的に加工性&なじみの良いブレーキ用のソフト・コッパーを使い始めました。それに際しては英国の旧車のサイドなどのディスカッション・ルームとかTips(ノウハウ情報)などを参考にして決断しました。シリコン・フルードの先輩であるオーストラリアの友人にも確認するとご自身の経験をもってベストな選択であるとの意見でした。所謂、ベスト・プラクティスであります。
ここで一段落して日本国内の旧車オーナーの状況はどうしているのかと気になり、日本語でのグーグル検索をしてみました。結果的に「なまし銅管 」を使用するのが定石のようです。この「なまし銅管 」は一般に金属材料屋などで購入出来るものです。気になったのは、上記の英国などのサイトや教則本では、ブレーキ用の銅パイプは「金属材料店」で購入してはならない、「必ずブレーキ専用の銅パイプ」を使えとどこにも書いてあるのです。
そこで何が違うのかと、単純ではありますが、その圧力の限界について、確認をしました。ブレーキ用のソフト・コッパーは一例として以下の通りです(抜粋、本サイト・オーナー使用のもの):
- COPPER BRAKE PIPE => ソフト・コッパー・ブレーキパイプ
- 3/16 インチ => およそ4.8mm
- SEAMLESS, 22 GAUGE => シームレス、22ゲージ(厚さ換算)
- CONFORMS TO BS EN12449 => 英国規格 EN12449に準拠(銅パイプの規格)
- @ OUTSIDE DIAMETER 3/16ins - 4.76mm => 外径
- @ WALL THICKNESS 0.028ins - 0.71mm => 壁厚
- @ SAFE WORKING PRESSURE 1841 PSI 127 BAR => 安全使用圧力
- @ MAX WORKING PRESSURE 2698 PSI 186 BAR => 最高使用圧力
一方、国内の多くの旧車のサイトで語られている「なまし銅管」の規格(参照サイト:MiSUMi)は以下のようです:
- 管外径:5mm
- 常用使用圧力:3.5MPa
- 最高使用圧力:7.0MPa
- 使用流体:エア・水・工業油
以上のようです、単位の違いについて換算してみると(参照サイト:単位の換算 覚え書き / 圧力の換算)、1MPaはおよそ145.04psiに相当するようです。と言うことは、
- 常用使用圧力:3.5MPa => 507.64psi
- 最高使用圧力:7.0MPa => 1015.28osi
と、なります。単純計算ではありますが、「なまし銅管」は「ブレーキ用ソフト・コッパー」にはるかに及ばない使用圧力であることが判ります。すなわち、まさに英国の旧車の常識である金属材料屋にある銅パイプを使ってはならないということの証明でもあります。
日本の旧車サイトでは、我がコンテツでは夢のような数百馬力のクルマのブレーキに「なまし銅管」が書かれたり、あるいはドラム・ブレーキは使っても良いが圧力の高いディスク・ブレーキには使ってはならないとか色々な解説が散見します。それは単なる「コップの中の嵐」なのか、あるいは「日本の常識は世界の非常識」なのでしょうか?
(SE, 2013.7.2)
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