【ボールジョイント・ブーツ関係】
50年前の日野コンテッサ1300であり、当時のものは当然、入手は出来ないし、そんなものがあったところで材質的あるいは旧さを考えれば使えるものではないだろう。Form/Fit/Function(フォーム/フィット/ファンクション)を考えれば、データさえあれば使えそうなものを探すことは困難なことでない。最近では、部品屋や製造メーカーの窓口に出向かずにデータを参照できるようになってきた。ネット社会のお陰である。その1つがモノタロウのサイトである。以下のブーツ類のコンテッサの取付サイズを計り(かなりラフではあるが)、そのデータを基に以下のものを購入した。モノタロウの場合、翌日には配達されるし、3,000円を超える場合には、送料は無料になる。この上ない、現代の部品屋である。それのForm/Fit/Function(フォーム/フィット/ファンクション)の精神あっての話しである。「肝」は、そこに書いてある「高さ(mm)」、「上部内径(mm)」、「下部内径(Φmm)」である。適合車種や部品番号ではないことを理解いただきたい。また、「取付け方法」の「カシメ」は不向きであろう。
- 大野ゴム工業(OHNO)/DC-2321
- ボールジョイント =>タイロットに使用、ただし、下記を参照
- 内容量: 1個 タイプ: ロアー 取付け方法: バンド締めタイプ パーツNo.: 0187 -34 -535A
- 大野ゴム工業(OHNO)/DC-1310
- ボールジョイント => ロアに使用
- 内容量: 1個 タイプ: アッパー 取付け方法: バンド締めタイプ パーツNo.: 40142 -B9500
- 大野ゴム工業(OHNO)/DC-2111
- タイロットエンドブーツ => アッパーに使用、ただし、下記を参照。
- 内容量: 1個 取付け方法: バンド締めタイプ パーツNo.: 31241 -0502P - 実践編
上記の作業は、時間的制約が大きかったので勢いで作業を進め、細かいことをあまり気にしてなかった。最近、本命クルマのブーツを取付ける際に1つ気がついたことがある。それはアッパーには上記のDC-2111よりもDC-2321のほうがしっくりと付くことだった。下記の参照:
【ステアリングラック・ブーツ関係】
日野の純正もよいだろうが、これまた50年前のものを使うのも大いに疑問である。当サイト・オーナーは70年代から行き着けの自動車整備工場の社長のアイデア・助言で日産の初期のローレルの48203-N3000を使用して来た。日野の純正は当時からわずか数年で亀裂が入って来てしまう(ロットの問題かは未調査)が、わずかの年月ではあるが時代が新しい日産の部品は走行距離の少ないコンテッサにとっては20数年経ても何の劣化がなく、今もってまったく心配がない。正に70年代に開花した日本の自動車産業の技術の進歩である。
今回は新たに使えそうなものを、例によって、ネットの検索で探してみた。基本的には、上記の日産の48203-N3000の部品番号をベースにグーグルで検索を行った。そのリプレースとか共通車種などを調べ、結果的にサイズのチェック、すなわちForm/Fit/Function(フォーム/フィット/ファンクション)の確認をバーチャルに進め(ここまでは、すべて国外の英語サイト)、車種を特定し、最終的にモノタロウの日産サニーをトライすることにした。
- ミヤコ自動車工業(Miyaco) ステアリングブーツ(ラックブーツ)
- R-750
- セット内容: ブーツ1個、ブーツバンド大1個、ブーツバンド小1個
- メーカー: ニッサン
- パーツNo.: 48204-53Y01
- 主な適合車種: サニー
- 他社参考品番(大野ゴム): RP-2077
早速、注文をして、加工したのが以下のものだ。
蛇腹の中央の部分が結構太いので干渉を心配したがクリア出来た。現代のこの種の部品の品質はすばらしく、上記の昔のローレルの比ではなく、さらに強靭なものになっているように感じた。また、気密性が高く、両手でサイドを押さえて圧縮すると完全に真空状態になってしまう。やはり換えてみて正解だった!
【リヤアクスル・ブーツ関係】
日野コンテッサ1300のリヤアクスルのブーツ (日野コンテッサ900も形状は異なるがサイズ的には共通) は、ルノー日野 4CVをベースにしたスイングアクスルである。そのジョイント部分は頑丈なケースにカバーされているが、日野コンテッサ900以来、その設計は変らないとでも云うか、とても大きなブーツに覆われている。
このスイングアクスルは、現代のFF車のCVジョイントブーツで云えば,アウターのような4方向の動きはなく、丁度、インナーのような上下だけの2方向の動きだけである。現代のFF車はアウターでも10年前後、あるいはそれ以上の耐久があるもので、インナーに至ってはクルマの寿命以上のもの様で一般にはアフター部品のリストにも出ていない。そんなインナー程度の動きの日野コンテッサではあるものの、1960年代の日本の工業製品である。当時でも日野純正は10年も使えば、多くは動きのシビアな下側にヒビ割れが入り,しまいには亀裂となってくる。当然、車検では交換、あるいは軽微の破れならならば下から見えないように上側にして見えないにするとか、シリコン系の接着剤で修理をするとか、丁寧な方法は包帯をしてその上にシリコンと結構、涙ぐましい苦労をした。それでも、日野純正のブーツは、後の日野コンテッサクラブ製のブーツ (すなわち、非工業製品) よりは格段の耐久性であることは間違いない。しかし、誰でもが当時の日野純正をストックして訳でない。耐久性の低い非工業製品などのブーツは深刻な課題となっている。なにせ、あるオーナーに弁によれば、交換の工賃が10万円の見積りとか、車検時の結構な出費となっているようだ。
数年前の2008年、ある日野コンテッサ・オーナーの問合せで、当サイトオーナーとして何か使えるものはないかと本気で探してみた。例によって、フォーム・フィット・ファンクションの精神で、径が合いそうなものを探して見た。まずは径が大きそうな米車の4輪駆動のフロントをアウターを手がかりにあたってみた。日野コンテッサのサイズのプラス・マイナス数ミリ程度で結構、数があることが判明した。
そこで出張の機会に、米国のどこの街にもあるNAPAに立寄り、現物を見せてもらい、NAPA品番の「686-2207」と手にした。規格的には、以下のようなものである:
- Part Number: CVB 6862207
- Product Line: NAPA CV Boots
- Attributes:# CV Boot Bellows : (5) Bellows
- Boot Length : 5.725"
- Contents : (1) Boot, (1) Bag Of Grease, (2) Clamps, Snap Rings (Where Required)
- CV Joint Boot I.D. of Both Ends : 1.205" Axle I.D., 4.35" CV Joint I.D.
- Manufacturer : EMPI, Inc.
- Manufacturer Part Number : 86-2207-D
- Warranty:12 Months or 12,000 Miles Whichever Occurs First
実は、このサイズのものは、日本製にトヨタ・ランドクルーザーに使えるものであることが判明した。いずれにせよ、現物合わせのために、「686-2207」を2ヶ (材質が異なる、おそらく製造元も異なる、この辺が米国のおおらかさである。使えればよいのである、仔細なことは不要) 買い求めた。以下の写真は、NAPAの686-2207 (左) と日野純正 (右) の比較である。肝心の径はホンの1~2ミリ多きいだけであり、問題なさそうだと判断した。
さて、このベストマッチのNAPAの686-2207が日本車と解ったら、少し欲が出て来た。それは取付の偉大なる省力化のための分割式である。そこで日本の旧車オーナーの味方、「MonotaRO」と訪問した。トヨタ・ランドクルーザーはMiyako M-564G があることは容易に判明した。すぐに注文をし、リアルタイムに日野コンテッサに使えそうな分割式を手にすることが出来た。以下の写真は、日野純正、NAPAの686-2207 (材質の異なる二種) 、そしてミヤコの分割式 (商品名:Mタッチブーツ) の比較である。尚、3年前の価格は殆ど割引が無く定価に近かった。おそらくこの製品の初期の販売だったのではないかと推測する。今は結構な安価に入手出来る。ただ、昨年秋口は結構長い時間欠品となっていた。注意として、このランドクルーザー (ハイラックスも同じ) 用は分割ブーツは、どうもミヤコ製品しかないようだ。
因みに、ミヤコの仕様は:
- ミヤコ自動車工業 (Miyaco) Mタッチブーツ / M-564G
- セット内容: ブーツ×1、バンド×2、グリス×1
- 長さ(mm): 110.7 小径(Φmm): 31.8 大径(Φmm): 106.1
- メーカー: トヨタ パーツNo.: 04427-60040
- バンド刻印(大径): 4490 バンド刻印(小径): 1905 シスナーNo.: 1523
さて、実際の取り付けはどうだろうか?まずは溝のはめ合いは形状は異なるがなんとかロックは出来そうである。
次に、径であるが、大きめであるのは承知であるが、右のようである。オーケーとする。
下記の写真のようなカットならびにワイヤーを通した。この方法に至るまで、実は週末の午前中、数時間の試行錯誤を要した。中々ロック出来ない、手が入らない、諸々、難題をいただいた。もっとよい方法があるかもしれないが、これは苦肉の策というものだ。
カバーの中間の隙間でブーツをロックし、ワイヤーで外れないようにロックし、それを勢いて外側のシャフトに引っ張り上げる、後は完全に密着してしまう。
そして、内側と外側をバンドでロックして終わり。内側はミヤコの附属のものをそのまま使った。本当は数ミリ,短くした方がしっかりとロック出来そう。外側は日野のオリジナルを利用する。因みに分割部分の方向であるが、大事をとって、一番動きのすくなそうは横方向とした。
これで完成だ。一つ目は試行錯誤で数時間を要した。二つ目にコツを覚えたので、取付自身は5分程度で完了。勿論、その前に旧いブーツを外し、そしてクリーンアップ&チェックと、全工数では、およそ30分程度が標準作業時間と云うことになるだろう。これはサスペンションやホーシングから分解&組立をしなければならない,実にウンザリとする作業を考えてと誠に偉大なる発見であり、「ミヤコ Mタッチブーツ / M-564G」さまさまである。時代の進化とは本当にありがたいものである。
以下は、日野純正ブーツを今回使用ブーツの比較を断面図で表したものである。赤線がここで紹介したトヨタのものである。当然、形状は異なる。しかし、機能は必要にして充分であろう。ここでも、フォーム・フィット・ファンクションの考え方は達成されたと思う。
最後におよそ8ヶ月を経た結果を、ここで公開のために念のために目視して見た。下記のように素人目ではあるが問題なさそうである。ブーツだけが奇麗に見えるのはなんとも滑稽である。
【注意:2013.1.19】
分割式のブーツは交換が簡単なのが、大きなメリットである。しかし、それは現代のクルマのみに言えることで、コンテツの場合は、幾つか、気をつけなばならないことがある。例えば、デファレンシャルギヤのスフェルカル・ベアリングのOリングである。何十年も交換しない、あるいはどうなっているかわからないクルマは要注意である。すり減っている場合もあるし、切断していることもある。そのような疑念に関わらず、一度は開けてチェックすることを薦める。通常のコンテツのブーツ交換であれば、構造上、嫌でもこの部分をチェックすることになることを忘れてはならない。さらに、ユニバーサル・ジョイントの状態やグリスの入れ替え、そしてオイルシールの状態など予防的なメンテナンスも忘れてはならない。要は、便利な現代の部品を使う場合でも、コンテツは50年前の旧いクルマであることを考慮してメンテナンスしなければならない。結果的に、良い意味で全体がそのようなことを面倒見なければならない設計、あるいは構造になっていることである。部品には、明らかな意志があり、それを正しく理解し、尊重しなければならない。
【トランスミッションのシフト・リンケージシャフトのブーツ】
Form/Fit/Function(フォーム/フィット/ファンクション)のコンセプトで大分前にモノタロウから購入しておいた4速トランしゅミッションのシフト・リンケージのブーツである。現車のミッション交換プロジェクトに際して取り付けてみた。
上記の多くのブーツ同様に大野ゴムのボールジョイント用のブーツである:
- 品番:DC-2321
- 高さ(mm) 30
- メーカー:マツダ
- 上部内径(mm):13
- パーツNo.:0187-34-535A
- 下部内径(Φmm):35
完全に実用に走って試した訳ではないが、動きのある高さ方向などとりあえずオッケーのように思う。ミッションケース側はセフティワイヤーでロック、シャフト側はフリーにして置く。
(SE, Original 2012.2.25)
(改編 2016.2.11)
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