コンテッサ1300には、デザイナーのミケロッティの思想を反映した多くの安全面の装備がなされた。当時としては非常に先進的且つ新鮮なプレゼンテーションであった。その一つが3点式セフェティ・ベルトであった。
3点式のセフェティ・ベルトはオプション設定であったが、スタンダード仕様を除いて全ての車両には工場出荷時、あらかじめアンカー(フロントシート、各シート2点、合計4ヶ)が装備されていた。コンテッサを購入時または購入後、セフェティ・ベルトを購入すれば簡単に装着出来た。
ただ、当時として、セフェティ・ベルトがメーカーとして提案しても一般には浸透するに至らなかったようだ。日本の国民性なのか、「官」が強制力を発揮しなければ「民」は自らと言うような時代ではなかったようだ。結果的に工場出荷とともにあったアンカーもある時期から消えてしまった。
因みにベルトカラーは、グレー(灰)、レッド(赤)、グリーン(緑)、ホワイト(白)、ブラック(黒)、ブルー(青)、ブラウン(茶)と7色も用意されていたようだ。誠に粋な計らいの日野自動車だった。
以下に、年式&車種によるバリエーション&変遷を紹介する:
【コンテッサ1300デラックス】
右の写真では解りにくいが3点式のシートベルトであった。この装着のしにくい機構に当時は何人のオーナーが利用しただろうか?
PD100-519238以降は、ブラケットは廃止された。理由は使用率が低いため。その後、ブラケット含め、オプション扱いとなった。
【日野コンテッサ1300S】
セダンに1年遅れて発売となった1300Sにも同様な3点式が設定されていた。
【日野コンテッサ1300クーぺ - その1】
セダンと全く同じ3点式シートベルトを設定した。
(註)ごく初期のこのクーぺにはリクライニング機構は無かった。イタリアン・カロッツェリアのワンオフ・モデルのような数度(およそ6度)調整出来る半固定のダイアル式であった。まもなく下の写真のような30度程度傾斜出来る機構となった。
【日野コンテッサ1300クーぺ - その2】
シャシーナンバー:PD300-102538(年式に関係無し、あるいはPD300-102550:デーラーノート)までのクーぺにはセダン同様の独特の3点式シートベルトだった。この写真からその機構がよく見える。黎明期でもあり、人間工学的には難解なものであった。しかし使えばすぐに装着出来るようになった。
【日野コンテッサ1300クーぺ - その3】
シャシーナンバー:PD300-102539(年式に関係無し、あるいはPD300-102551:デーラーノート)からのフルリクライニング機構付きは一般的な2点式となった。理由は背もたれ側が後席へのアクセスのためにフリーになったからと推測する。あるいは単純な汎用品でのコスト低減とも推測する。
【参考文献】
- 日野コンテッサ1300 ドライバース・ハンドブック 昭和40年10月15日
- 日野コンテッサ1300S ドライバース・ハンドブック 昭和40年11月1日
- 日野コンテッサ1300クーぺ ドライバース・ハンドブック 昭和39年12月1日
- 日野コンテッサ1300クーぺ ドライバース・ハンドブック 昭和40年11月1日
- 日野コンテッサ1300クーぺ ドライバース・ハンドブック 昭和41年4月20日
- 昭和40年7月12日付け、デーラー・ノート:No.小-0283 (1/2)
(SE, 2010.10.9, Original)
(改編:2013.11.9)
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